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マネロン対策、28日から審査=国際組織が訪日、銀行など聴取

2019年10月25日 16時56分

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 脱税や麻薬取引などで違法に得た資金を移転させて出どころを隠そうとするマネーロンダリング(資金洗浄)対策で、28日から政府や金融機関などが国際審査を受ける。違法資金が、テロや紛争に使われるのを防ぐ機運が世界的に高まっており、対策が不十分との「烙印(らくいん)」を押されれば、邦銀の国際取引が制約を受け、企業の貿易にも支障が出る恐れがある。

 国際組織の「金融活動作業部会(FATF)」が訪日して11月中旬まで3週間にわたり審査し、金融庁や銀行から聞き取りを実施する。口座開設や海外送金に関し、本人確認や送金目的の確認を強化しているかを検証。不正な資金流出への予防措置の有効性を精査する。対策の甘い金融機関がマネロンの抜け穴となるのを排除するため、金融界全体のリスク管理体制が問われる。

 国際取引が活発なメガバンクやカード会社にとどまらず、地方銀行や信用組合、キャッシュレスの資金移動業者なども審査対象に含まれる。具体的な審査先は非公表だ。

 審査の後、FATFは2020年6月の全体会合で対日審査報告書を採択する。来夏ごろに最終結果を公表する。

 FATFが08年に実施した前回審査では、顧客管理や法整備が不十分と指摘された。その後も法整備が遅れ、14年にはFATFが迅速な立法措置を促す異例の声明を出した。声明の後、政府はテロや犯罪行為に資金が流れるのを防止する法改正を行ったほか、金融機関向けのガイドラインを作成。「背水の陣」で今回の審査に臨む。(了)

 

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