香港への重複上場、活発化=米の中国企業締め出しで
2021年03月23日 14時45分
【北京時事】米ナスダック市場に株式を上場する中国IT大手の百度(バイドゥ)が23日、香港証券取引所にも上場した。米中対立の激化を背景に、米国では米市場に上場する中国企業を締め出す流れが加速。これに伴い、中国企業による香港への重複上場の動きが活発化している。
先駆けとなったのが中国電子商取引最大手の阿里巴巴(アリババ)集団だ。同社は当初、香港市場への上場を検討したものの、最終的に米市場を選び、2014年にニューヨーク証券取引所で新規株式公開(IPO)を実施。ただ、米中関係が悪化する中で地元への「回帰」を模索し、19年11月に香港への重複上場を果たした。
昨年6月にはインターネットサービス大手の網易やネット通販大手の京東集団(JDドットコム)も相次いで香港に上場。ロイター通信によると、重複上場はバイドゥで15社目になるという。今月29日には動画配信大手のビリビリも香港上場を予定している。
米国は中国企業が会計監査に関する米当局の検査を拒んでいることを問題視し、昨年12月に「外国企業説明責任法」を成立させた。同法は3年連続で検査を受け入れなかった外国企業の米上場廃止を定めており、中国企業の米撤退が今後相次ぐ可能性もある。
米議会によれば、米上場の中国企業は昨年10月時点で217社。香港市場は中国本土の株式市場より国際化が進んでいることから、将来の米撤退も視野に入れる中国企業の受け皿になるとみられている。
一方、中国企業も香港上場で、自社の製品やサービスを熟知している国内の投資家を取り込むことが可能になる。バイドゥの李彦宏会長兼最高経営責任者(CEO)は上場時のあいさつで「利用者に一段と近づいた」と強調した。中国の規制緩和に伴い、中国本土から香港への株式投資が容易になったことも追い風となっている。(了)