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損保各社、DX人材を自社で育成=競争力強化、変革の起爆剤に

2021年02月18日 15時52分

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 大手損害保険各社が、デジタル人材の育成を強化している。新型コロナウイルス収束を見据えた多様な働き方を支える一方、事故・災害リスクの予測精度を高める需要に対応。デジタル技術で既存制度を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)にたけた社員を成長の起爆剤と位置付け、業務効率化や新たなサービス・商品の開発スピードを引き上げる。

 SOMPOホールディングス<8630>は昨年10月から、企画部門の社員約700人を対象に、人工知能(AI)や高速大容量の第5世代通信規格「5G」などを学べる計80時間の研修を実施している。工場設備の故障を事前に察知するなど新サービスへの需要は高まっており、「保険業務を理解した社員がDXで武装すれば、競争力のあるアイデアを具体化できる」(同社)との期待が大きい。

 三井住友海上火災保険は、約70人の社員を業務効率化の先導役「デジタルアンバサダー」に任命。全国19本部に配置し、このうち、東京では未契約企業を効率的に探し出すシステムが提案され、年6000時間分の業務を削減できたという。あいおいニッセイ同和損害保険では、データ解析に詳しい人材が各部署を指導し、顧客アンケート集計の省力化を実現した。

 各社は、デジタル人材の育成を通じて社員の意識改革を促す狙いだ。全社員にオンライン研修を行う東京海上ホールディングス<8766>の担当者は「目の前の業務をどう変革できるか。一人ひとりの理解、思考の浸透で企業文化が変わる」と訴える。

 DXは経営陣のけん引力が成否を分けるとの指摘もある。大和総研の内野逸勢主席研究員は「経営戦略に基づく必要な人材を明確化した上で、具体的なスキルを身に付けさせるべきだ」と話している。

 ◇損保各社の主なDX人材育成
【東京海上ホールディングス】
・全社員向けオンライン研修
・データ解析の人材に長期講習
【SOMPOホールディングス】
・企画部門約700人の80時間研修を含む全社員向けレベル別研修
DX推進役を各部署に配置
【三井住友海上火災保険】
・社員約70人を「デジタルアンバサダー」に任命
・京都先端科学大学との研修プログラムでデータ収集・解析方法を学習
【あいおいニッセイ同和損害保険】
・データ解析の人材が各部署を指導
・動画でDX基礎知識を学ぶ社員学習
(了)

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