大阪市繁華街で地価大幅下落＝インバウンド低迷影響か―路線価を減額修正・国税庁

2021年01月26日 11時20分

地価が大幅に下落した大阪市の繁華街、道頓堀＝１３日、大阪市中央区

　大阪市の代表的な繁華街、道頓堀などの地価が、昨年１～９月の間に最大約２３％下落したことが、国税庁の調査で分かった。新型コロナウイルスの感染拡大でインバウンドなどの需要が減退した影響とみられる。同庁は２６日、２０２０年分の路線価について、市内３地域で７～９月に相続などが発生した人を対象に減額補正すると発表した。

　大阪市は関西空港からの利便性も高く、アジア系の観光客が多く訪れていた。地価は１９年までの数年、上がり続けており、国税庁の担当者は「反動が大きかった」と指摘する。

　路線価は、相続税や贈与税を計算する際の基準となる土地の評価額で、国土交通省が出す公示地価の８割を目安に算出される。国税庁は昨年７月、１月１日時点の数値を公表したが、経済活動低迷による影響を想定し、四半期ごとに地価動向を調査していた。

　今回補正の対象となるのは、大阪市中央区心斎橋筋２丁目と同区宗右衛門町、同区道頓堀１丁目の３地域。外部の専門家による調査の結果、いずれの地域でも昨年９月末時点で地価が約２３％下落し、実際の取引額が路線価を下回る状況が確認された。同庁が年の途中で路線価を見直すのは初めて。

　１０～１２月分の補正の有無や対象地域などは４月に公表される予定。名古屋市中区錦３丁目や大阪市中央区難波１丁目などの１０地域は、９月末時点で約１６～１９％下落しており、補正対象に加わる可能性がある。同庁はこれらの地域で昨年１０～１２月に贈与を受けた場合について、申告期限を延長するとしている。（了）