暗号資産が急落=ピーク比3割超安、一時300万円台割れ
2021年01月22日 16時26分
暗号資産(仮想通貨)が急落している。代表的なビットコインは日本時間22日午前、国内の主要取引所で一時、1単位当たり300万円を割り込む場面があった。1月上旬に430万円台まで急伸する場面がみられたが、その後は買われ過ぎ感から上値の重い状態が続いていた中、米国の規制強化などの思惑を背景に、売りが強まった。直近高値からは2週間あまりで3割以上の大幅な下げとなる過程で、高値で買い付いた投資家の投げも響いたようだ。ただ、22日午後は330万円台まで回復しており、市場関係者は、このレベルで下値を固められるのか注目している。
下落の背景にあるのが、バイデン政権下での米金融当局による規制強化への警戒感だ。財務長官に指名されたイエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長は19日、上院財政委員会の承認公聴会で暗号資産がテロ資金や資金洗浄(マネーロンダリング)に悪用されるリスクを「特に懸念する」と発言。本人確認(KYC)などの規制厳格化が投資家離れにつながるのではないかとの思惑を呼んでいる。
昨年末には米証券取引委員会(SEC)が暗号資産リップル(XRP)を発行・運営する米リップル・ラボを、証券取引法違反でニューヨークの連邦地裁に提訴しており、他の暗号資産発行主体が提訴されるリスクも警戒されている。
そうした中、20日には世界的な資産運用会社グッゲンハイム・パートナーズの最高投資責任者(CIO)が米CNBCテレビに出演、ビットコインは2万ドル(約207万円)水準に下落するとの見通しを示したことが嫌気された。
イーサリアムやリップル(XRP)など、他の銘柄も値下がりが目立つ。ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリストは「イーサリアムが最高値更新後、目標達成感から売られた影響もある」と指摘する。
◇ブラックロックなど大手機関投資家はこれから参入
その一方で、世界最大の資産運用会社である米ブラックロックが、投資信託の投資対象資産にビットコイン先物を追加すると報じられている。著名投資家のポール・チューダー・ジョーンズ氏をはじめ、グレイスケール、マサチューセッツ・ミューチュアル生命保険といった機関投資家なども暗号資産に投資する中で、長谷川氏は「長期的なファンダメンタルズには変わりはない。足元の調整は1~2週間程度で終わる」との見方を示す。
拡大傾向が続いてきたとはいえ、暗号資産の市場規模や流動性は株式や債券など他の資産に比べると格段に小さく、その価格の振れ幅はおのずと大きくなりがちだ。市場関係者の間には、今回の相場も、1月上旬にかけての急伸のスピード調整にすぎないとの見方が根強いようだ。
FXcoinの松田康生シニアストラテジストは、バイデン政権が打ち出している総額1兆9000億ドル(約200兆円)規模の追加経済対策案では、1人最大1400ドル(約15万円)の現金給付がうたわれている点を指摘。「テクニカル分析的には弱さが出ているが、追加経済対策絡みの資金が暗号資産に流れ込むことで、今後の相場は支えられやすい」とみている。(了)
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