〔証券情報〕「餅つき相場」に期待高まる=年末まで新規上場株が集中
2020年12月04日 11時01分
12月に入り、株式市場では「餅つき相場」の到来に期待が高まっている。年末は「市場参加者が減り、最後の数日は荒れやすい」(大手証券)傾向がある。今年は日経平均株価が29年ぶりの高値圏に上昇し、警戒感も漂っていることから、戻り売り圧力の小さい中小型株が例年以上に注目を集めそうだ。
▽株高で物色活発に
餅つき相場とは「年末になると、新年の見通しに対する買いと売りの思惑が交錯し、相場が上下に慌ただしく動くこと」(日本証券業協会ウェブサイト)を意味する。株価の動きが餅をつくきねの動きに似ていることからこう呼ばれる。荒い値動きの中から餅代を稼ぐという意味も含まれる。
今年はどんな餅つき相場が展開されるだろうか。あるベテラン証券マンは新規上場株が焦点になると予想。「数が多く、値動きが激しくなるだろう」と語る。日経平均が11月に大きく上昇し「個人投資家の懐具合は良い」ため、餅つきの参加者が増えるという見立てだ。
インターネット証券のストラテジストも「物色が定まらない時は新規上場株に行き着く」と考えている。東京市場全体に高値警戒感が広がれば、新規上場株が短期売買の対象として脚光を浴びるだろう。
東証によると、12月15日から月末までに新たに26社が上場する予定。業種別では情報・通信業が10社と最も多く、サービス業が5社、小売業と医薬品が各2社と続く。経営陣による自社買収(MBO)を経て再上場する電子楽器のローランド<7944>、新興家電メーカーのバルミューダ<6612>など、一般の消費者になじみのある銘柄もある。
▽資金分散で低調な銘柄も
前出のネット証券ストラテジストは「情報テクノロジーや在宅勤務関連など、現在人気がある投資テーマの銘柄は買いを集めやすい」とみている。
この観点からすると、データサイエンスの技術を生かし、電子商取引(EC)サイトの不正注文検知などに役立つソフトウエア・アズ・ア・サービス(SaaS)型アルゴリズムを提供するかっこ<4166>、消費者向けECに取り組む企業に対してマーケティングや物流などを支援するいつも<7694>、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援するためウェブサイトの改善サービスを行うKaizenPlatform<4170>、ベビーシッターの派遣を手掛けるポピンズホールディングス<7358>などが注目されそうだ。特に、投資家の需要に対して売り出される株数が少ないマザーズの銘柄は、初値形成後に「餅つき」が荒くなると見込まれる。
ただ、年末までの約3週間に26社の新規上場が集中し、1営業日に5社が重なる日もある。新規上場株を好む個人投資家の資金が分散し、人気薄の銘柄が低調なスタートを切ることも予想される。(了)
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