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デジタル通貨勉強会の山岡座長:成功にはオールジャパンの取り組みが重要

2020年11月19日 12時52分

山岡浩巳氏
山岡浩巳氏

 インターネットイニシアティブ<3774>や、傘下で暗号資産(仮想通貨)交換を手掛けるディーカレット(東京・千代田)などを中心に、民間企業が立ち上げた「デジタル通貨勉強会」の山岡浩巳座長(元日銀決済機構局長、フューチャー<4722>取締役)は、19日までに時事通信のインタビューに応じ、「デジタル通貨の取り組みを成功させるには幅広い企業の参加が重要。オールジャパンで進めてほしい」と期待を示した。

 ―勉強会を終えての感想は。

 デジタル化の遅れに対する参加企業の問題意識は非常に強いと感じた。業種や企業、官民の壁を越えた協力が必要という認識を共有する上で、たくさんの金融以外の企業を交えて話ができたことは非常に有意義だった。

 デジタル化のすぐれている点は、金融とさまざまな情報のリンクによって、新たな付加価値を生み出せることだ。海外では米国のGAFAや中国のBATなど、伝統的金融機関ではない大手のIT系企業が重要な役割を果たしている。勉強会ではそうしたデジタル化の事例を16件検証した上で、日本での望ましいスキームを提案した。

 勉強会は今後、「デジタル通貨フォーラム」として展開させる。従来の勉強会メンバーを含め、数十社が参加する見通しだ。勉強会で事務局を務めた暗号資産交換業者ディーカレットを中心に、プラットフォーム(サービス基盤)となるブロックチェーン(分散型台帳)技術の検証を深め、来年前半には実用化に向けて開発に入りたい。他のプラットフォーム開発を進める企業やグループのフォーラムへの参加も歓迎する。

 ―なぜ、銀行が発行するデジタル通貨が流通する「共通部分」と、企業が発行するデジタル通貨や決済サービスなどの「付加部分」からなる二層構造スキームにしたのか。

 将来的に中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)が登場し、「共通部分」の役割を担うようになった場合、二層構造ならば柔軟に対応できるからだ。日銀は新組織「デジタル通貨グループ」を設置し、CBDCの検討を始めている。われわれのスキームはCBDCと相反するものではない。ただし、裏付けとなる担保を保有することで、CBDCと同等の高い安全性を持つデジタル通貨を、民間ベースで発行するという方法も可能だと思う。

 いずれの場合も、一般の人々向けにアプリを開発し提供するのは、民間の役割だ。日銀も10月9日に公表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」の中で、役割分担の必要性に言及し、イノベーションを担うのは民間だとしている。

 ◇幅広い企業の参加が重要

 ―勉強会の間にも中国をはじめ海外でデジタル通貨導入の動きが急速に進んだ。

 海外でデジタル通貨導入や検討が加速することは予想通りだ。日本でも菅政権の下でデジタル化推進の機運が高まっていると感じる。

 中国はかなり本腰を入れてデジタル通貨を研究している。2022年に開かれる北京冬季五輪会場での試験的な決済利用までは成功させるつもりだろう。ただ、本格的運用には十数億人の国民が使えるだけのスケーラビリティー(規模の拡張性)が求められる。さらに、阿里巴巴(アリババ)集団の支付宝(アリペイ)や、騰訊(テンセント)の微信支付(ウィーチャットペイ)といった、民間インターネット企業の提供する電子決済サービスとの競合も課題だ。米国系のGAFAと対抗する上で、中国経済の成長を支えるこれらの企業の決済ビジネスを、政府・中央銀行があまり浸食するわけにもいかない。

 ―実証実験段階に入る上で、政府や日銀、銀行業界との関係は。

 政府の支援を得ることは可能だと思うが、支援を当てにするあまり動けないようだと本末転倒だ。当面はフォーラムに参加する民間企業で協力しながら、実証実験に必要な費用の拠出などを進めたい。

 日銀や中央官庁には勉強会にオブザーバーとして参加してもらった。全銀協も存じ上げている方ばかりだ。デジタル通貨の取り組みを成功させるには幅広い企業の参加が重要。オールジャパンで進めてほしい。オープンに話し合いや協力しながら実現を目指してゆく。(了)

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