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独自:政策判断、AIで迅速化=米データ解析大手と協議―安保、コロナで活用・政府

2020年10月31日 14時54分

EPA時事
EPA時事

 政策判断の迅速化を狙い、政府内で米企業の先端ビッグデータ解析システムの導入を探る動きがあることが31日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。人工知能(AI)技術の発展と菅政権のデジタル化推進を背景に、政府は防衛・安全保障関連部局などでの導入の可否について基礎的な検討に入った。

 候補とされるのは、米パランティア・テクノロジーズのAIを使ったデータ解析システム。政府関係者らは「防衛や安全保障、貿易管理などの分野でパランティアと話をしている」と語った。ドローンなど軍事転用可能な機器が急増し、日本では部品の流通状況の把握などが課題とされる。

 また、新型コロナウイルス対策で政府は膨大な情報の収集・分析を迫られている。同社日本法人の楢崎浩一最高経営責任者(CEO)は取材に対し、コロナ危機などを念頭に「(同社の技術で)国家課題を解決できる」と強調した。

 2003年創業のパランティアは巨大組織内に分散しているデータを短期間に統合・解析するシステムを運用。米欧の金融大手や複合企業のほか、米国の中央情報局(CIA)、国防総省、厚生省などを顧客に抱える。コロナ危機では米英欧諸国と感染経路や医療物資の在庫などの分析を進めている。

 楢崎氏は、コロナ感染拡大など世界的な広がりを持つ深刻な課題に対し、従来型の手法では「(情報集約と解析に)何年もかかり、その間に国が危機に陥るかもしれない」と述べ、日本の省庁に早期の導入を働き掛ける構えを見せた。マクロ経済や財政政策での貢献にも意欲を示している。

 政府の情報管理上の懸念に対しては「パランティアが顧客のデータを見ることはない」と強調。米グーグルに代表される「GAFA」の個人向けサービスと異なり、顧客となる政府や大企業の情報を自社事業に利用することはないと説明した。

 ◇パランティア・テクノロジーズ

 政府機関や大企業にビッグデータ解析システムを提供する米企業。米同時多発テロの首謀者とされる故ウサマ・ビンラディン容疑者の居場所の特定に同社の技術が使われたとされる。決済サービス「ペイパル」を創業した著名投資家ピーター・ティール氏が2003年に設立。19年に損害保険大手SOMPOホールディングス<8630>と共同出資で日本法人を設立した。社名は、英作家トールキンの幻想文学「指輪物語」に登場する「遠くを見渡すことができる水晶玉」の名前が由来。(了)

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