「デジタル庁」で縦割り打破=コロナでオンライン化急務―新内閣の課題
2020年09月16日 15時45分
16日発足の菅義偉・新政権は、デジタル化推進を重要政策課題に掲げている。新型コロナウイルスの感染拡大は、時代遅れの行政実態を浮き彫りにした。障害となってきた縦割り行政を打破するため、菅氏は「デジタル庁」構想を掲げるが、実現には課題もある。
感染対策の最前線となる保健所は感染状況のデータをファクスでやりとりし、国や地方自治体の情報把握が遅れた。10万円の特別定額給付金では、マイナンバーカードを使った申請手続きが混乱した自治体もあった。
首相官邸や省庁でもファクス依存の業務が依然残り、デジタル技術で既存制度を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)は遠い。民間でも次世代通信規格「5G」の普及は始まったばかりだ。
IT政策の所管は総務省、経済産業省などに分かれており、省庁間の縄張り争いがデジタル化を阻んできたとの指摘は多い。菅氏は司令塔となるデジタル庁の創設を提唱し、「法改正に向けて早速準備していきたい」と表明している。官邸関係者によると、内閣府にデジタル庁を置き、両省の幹部らを移籍させる案などが浮上している。
しかし、総務、経産両省の対立は、大学の早慶戦になぞらえて「総経戦」とも呼ばれるほど根深く、「今回も摩擦が懸念される」(関係者)という。また経済官庁幹部は「本格的な省庁再編に踏み込めば、1年以上は行政手続きが止まる」と話し、コロナ危機下で政策が停滞する可能性を心配している。(了)
DX
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