ウォール・ストリート・ジャーナル
コモディティコンテンツ

マーケットニュース

〔円債投資ガイド〕上期の円債市場の振り返り=富国生命・福田氏(24日)

2020年09月24日 05時38分

2020年度第2次補正予算が賛成多数で成立した参院本会議=6月12日午後、国会内
2020年度第2次補正予算が賛成多数で成立した参院本会議=6月12日午後、国会内

 福田隆一・富国生命保険有価証券部課長=2020年度上期の長期・超長期の国債入札は24日の40年国債を残すのみとなり、少し早い気もするが上期の相場を振り返ってみたい。上期の円債市場は①国債の増発懸念②日銀の長期国債買い入れの動向③機関投資家の押し目買い―の三つの影響が大きかったと思う。

 第1次補正予算を受けて、国債増発は10年以下を中心に行われたが、日銀による同年限の買い入れ額が増額され、10年国債金利は一時マイナス圏に低下したものの、おおむねプラス圏での安定的な推移となった。一方で、超長期ゾーンは日銀の買い入れが増額されなかった上、国債増発額が当初発行額対比月1000億円の増発と限定的であったため、20年国債で0.3%台、30年国債で0.4%台での推移となった。

 最大規模となった第2次補正予算により、20年と30年国債は当初発行額対比月3000億円、2000億円の増発となった。さらに、同年限に対する日銀の買い入れが据え置かれたことで需給悪化懸念が台頭し、金利は上昇した。ただ、20年の0.4%台、30年の0.6%台では、機関投資家の押し目買いが入り、金利上昇は限定的となった。国債供給圧力と機関投資家の押し目買いニーズが均衡した水準ともいえる。

 第3次補正予算に伴う国債の再増発で、金利水準の均衡点が上昇する可能性があるものの、機関投資家の押し目買いニーズは下期も継続すると思われ、金利の上振れ幅は限定的になりそうである。(了)

〔円債投資ガイド〕について
証券会社や運用会社などに所属する専門家による日本の債券市場を取り巻く環境や当面の市場見通しを解説する記事です。米国など海外の金融政策や政治問題、日銀の政策運営方針など債券市場に影響を与える要因を多角的に採り上げています。毎日配信します。

 

ウォール・ストリート・ジャーナル
オペレーションF[フォース]