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手探りの感染対策、そろり=試行錯誤の飲食店、隣県でも不安―まん延防止
<2021年4月16日>
2021/04/12 21:11
東京など3都府県に「まん延防止等重点措置」が適用された12日、飲食店などは売り上げ減への不安を抱えつつ、感染対策を徹底した。隣県の住民からは「うちの県にも早く適用してほしい」と声が上がった。
東京・新橋の居酒屋「根室食堂」は、換気状況を調べる二酸化炭素濃度の測定器を新たに導入。客席に設置するアクリル板も12枚から30枚に増やした。飛沫(ひまつ)を防ぐため、マスク代わりに人気キャラクターのお面を客に配布する取り組みも始める。
「楽しく協力してもらえるように試行錯誤した」と平山徳治店長(49)。再び午後8時までの時短営業を余儀なくされたことについて「協力しないと感染者は減らず、経済は回らない」と理解を示す一方、「客は3月の半分ほどに減るのではないか」と懸念した。
多摩地区にあるJR三鷹駅は、北口側の武蔵野市は措置対象地域で、午後8時までの時短営業を知らせる張り紙を貼った飲食店が多く並ぶ。一方、南口側の三鷹市は対象外のため、午後9時までの営業が可能だ。
駅を挟み、両市それぞれに店舗を構えるレストラン「とれたて食堂」の料理長、鷲尾浩さん(45)は「店によって営業時間が分かれるのはどうかと思う」と困り顔。「南口に人が流れ、店が密になるのも心配だ」と話した。
千代田区の日本武道館では東京大の入学式があり、札幌市出身の新1年生浅沼大樹さん(19)は「先月上京してきたが、こんなに東京の人出が多いとは。入学式ができてうれしい気持ちと不安が半々です」と話した。都内の新1年生小崎陽友さん(18)は、措置について「『もう一度緊急事態宣言』と言うと反感を買うから、一歩手前で止めようということなのでは」と冷静に分析した。
感染拡大に歯止めがかからなければ、措置の対象地域は隣県に拡大する可能性もある。JR浦和駅(さいたま市)では、30代の女性が「飲食店は大変だと思うが、長い目で見たら(埼玉県でも)早めに出すべきだと思う」と語った。1歳の娘がいるという歯科衛生士の高田直美さん(38)は変異株の動向を懸念。「子どもはマスクができないし、保育園での感染も増えている。もう少し厳しい措置でもいいくらい」と語気を強めた。 (了)