マーケットニュース

米バークシャー、自社株買い過去最高の2.6兆円=バフェット氏、経済への強気維持

<2021年3月5日>

AFP時事
AFP時事

 【ニューヨーク時事】著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハサウェイは27日、毎年恒例の「株主への手紙」を公表し、2020年の自社株買い総額が247億ドル(約2兆6000億円)と、過去最高に上ることを明らかにした。一方、「米国衰退には絶対に賭けるな」と強調し、米経済への強気姿勢を維持した。

 同年は、米天然ガス関連事業や日本の商社株取得などに資金を投じ、保有銘柄の上位には、発行済株式の約5%を持つ伊藤忠商事<8001>も登場した。ただ、大型買収の機会はなく、昨年末時点の手元資金は1383億ドルに達した。

 バフェット氏は、自社株買いに対して否定的だったが、手元資金の増加を受けて方針転換した。「手紙」の中で、自社株買いによって発行済み株式数が減るため、長期保有する株主は、追加投資することなく、事業の持ち分が高まると説明。「株式の本質的な価値を高めることができる」と述べた。

 同社は、日本や中国の企業にも投資先を広げたが、「何度か深刻な障害があったが、米経済は驚異的な進歩が続いている」と称賛。米国では格差拡大など社会の分断が指摘されるが、「ゆっくりで、しばしば落胆もさせるが、『より完全な統合』へ進み続けている」と語った。

 同時発表の20年通年決算では、純利益が前年比約48%減の425億2100万ドルだった。新型コロナウイルス感染拡大を背景に保有株式の評価損や事業の減損損失が膨らんだ。営業利益は約9%減の219億2200万ドルだった。

 ◇プレシジョン買収、過大評価

 20年決算では、米金属部品製造大手プレシジョン・キャストパーツについて、事業見通しが悪化したため、110億ドルの減損損失を計上した。2016年に372億ドルで買収し、同社の過去最大の案件だった。ただ、新型コロナ拡大を背景に、主力の航空宇宙産業の事業環境が悪化した。バフェット氏は「手紙」の中で、プレシジョンの事業を評価しつつも「将来の利益見通しに関し、楽観的過ぎた。買収額は高過ぎた」と失敗を認めた。

 ◇バークシャー・ハサウェイ(BRK)決算の概要
     20年10~12月期  前年同期    20年通年
営業利益   5,021     4,420   21,922
純損益   35,835    29,159   42,521
1株益   23,015    17,909   26,668
(注)営業利益と純損益の単位は100万ドル。1株益はA種株、単位はドル(了)

 

メールマガジン
最新のリアルタイムマーケットニュースとデータをお手元に
よく読まれている記事
メルマガ採録記事一覧

メルマガ採録記事一覧へ

メルマガ一覧

過去分を表示する

関連製品 & お知らせ