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巨大IT、強まる規制強化論=米議会がトップ追及
<2020年8月7日>
2020/07/30 16:37
【シリコンバレー時事】米下院司法委員会は29日、GAFAと呼ばれる米IT大手4社(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)の最高経営責任者(CEO)を公聴会に招き、デジタル分野の競争環境について意見を聴取した。司法委は、各社の市場支配力を厳しく追及し、巨大IT企業への規制強化論が強まっていることが浮き彫りになった。
この日、注目を集めたのは米議会の公聴会に初めて姿を現したインターネット通販最大手アマゾンのベゾス氏だ。アマゾンのような企業に疑念が向けられるのは規模の大きさだけが理由ではない。他社が乗り入れ可能な「プラットフォーム」(基盤)の運営者でありながら、同時に自社商品を販売する出店者としての顔を併せ持つためだ。
ベゾス氏は、こうしたビジネスモデルが利益相反に当たらないかと問われ、「何を購入するかは消費者の判断だ」と否定。しかし、個別の外部出店者データを競合製品の開発に利用しているとの報道については、事実関係を調査中として言葉を濁した。
一方、11月に大統領選を控え、公聴会は政治的な色彩を強めた。トランプ大統領は開始前にツイッターへの投稿で、「議会が巨大IT企業に公平性をもたらさないなら、私自身が大統領令でやる」と議論をけん制。共和党系の議員は、IT企業が保守派の言論を検閲しているとして再三不満を表明した。
独禁法問題を扱う小委員会のシシリン委員長(民主)は「ここにいる企業が独占的な力を持っていることがはっきりした」と指摘。「一部の企業分割や、各社への適切な規制が必要だ」と述べ、5時間以上に及んだ公聴会を締めくくった。ロイター通信によると、司法委は秋ごろまでに報告をまとめる予定で、今後は、米議会や当局が各社のビジネスモデルの問題点にどこまで踏み込むかが焦点となる。 (了)