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米、9州で経済一部再開=感染警戒、閉鎖続ける飲食店も―衛生確保で手探り状態
<2020年5月1日>
2020/04/28 15:57
【ニューヨーク時事】世界最多の新型コロナウイルス感染者を出している米国で、経済活動を一部再開する州が相次いでいる。米メディアによると、27日時点で既に経済の一部を再開したのは9州、再開を決めたのは7州に上る。27日に飲食店の店内飲食が再開した南部のジョージア、テネシー両州では感染リスクを懸念し、閉鎖を継続する店も多い。
米国では、感染拡大の深刻さの程度に地域差があるが、感染拡大防止策が本格化した3月中旬から5週間の失業保険申請数の累計は2600万件を超え、各地で経済活動再開を求める声が大きくなっている。各州政府は経済と公衆衛生のバランスをどう取るのか、まだ手探りの状態が続く。
南部ミシシッピ州などではこれまで「ステイ・アット・ホーム(自宅待機)」を求めてきたが、最近になって「セーファー・アット・ホーム(自宅の方が安全)」と外出制限を緩和。引き続き自宅待機を求めつつ、入場制限を設け、小売店を再開することを容認した。
多数の日本企業が拠点を置く南部テキサス州も5月1日に小売店に加え、飲食店や映画館、博物館が客を従来の25%に制限して再開する。接触を避けるのが難しい美容院などはトランプ大統領らが再開に反対し、州ごとで対応が割れている。
全米でも幅広い業種の再開を認め、動向が注目されているのがジョージア州だ。24日に美容院やスポーツジムが、27日には飲食店の店内飲食と映画館がそれぞれ再開した。米メディアによると、営業を再開した店はテーブルを1.8メートル間隔で配置するなどして空間を確保。ただ、同州の州都アトランタでは多数の店が店内飲食を停止したままだ。
ABCテレビなどの世論調査では約8割が「あす規制が解除されても、人が集まりそうな公共の場所には行かない可能性が高い」と回答した。このため店を再開しても客足が伸びない可能性がある。
ジョージア州で閉鎖継続を決めた飲食店経営者は地元テレビに対し、その理由について「再開した時に(客が来なくて)忙しくないか、あるいは忙しくなって対人距離の確保が難しくなるのか予測ができない」と語った。同州では体温計やマスクなど客や従業員の安全を守る備品がなく、再開を断念した店もあったという。 (了)