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企業トップ、コロナ危機「克服を」=異例の「ウェブ入社式」
<2020年4月3日>
2020/04/01 18:28
多くの企業が1日、新入社員を迎え入れた。今年は新型コロナウイルス感染防止のため、幹部らも一堂に会する入社式の中止が続出。代わりにインターネットを活用した異例の「ウェブ入社式」などで、経営トップはコロナ危機をともに乗り越えていこうとメッセージを届けた。
入社式を中止したトヨタ自動車は自社運営のネット媒体「トヨタイムズ」で、昨年現役を引退した元米大リーグのイチロー氏のメッセージを新入社員に配信。毎年のように打撃フォームを変えて試行錯誤した自らの経験に触れて「(自動車会社から)モビリティーカンパニーを目指し、変わろうとしているトヨタ。どんな会社になるのか皆さんの挑戦が楽しみだ」とエールを送った。
入社式を中止した多くの企業はネットなどで社長の訓示を伝えた。新型コロナまん延で旅客需要が落ち込むANAホールディングスの片野坂真哉社長は「東日本大震災など多くの危機に見舞われたが乗り越えてきた。今、目の前の危機を乗り越える一員として仲間入りした」と訓示。三菱重工業の泉沢清次社長も「こういう時代だからこそぶれない軸を持たなければならない」と強調した。
一方、かんぽ生命保険の不正販売に揺れる日本郵政の増田寛也社長は「お客さまの生活全体を支える存在となってほしい」と訴えた。
伊藤忠商事では入社式の代わりに、東京都港区の本社玄関ホールで、岡藤正広会長と鈴木善久社長が新入社員を出迎えた。サプライズ企画で、レッドカーペットを敷いた満開の桜の前を新入社員が続々と出社。発案者の岡藤会長は「世の中は今暗いが、(入社を)精いっぱい祝いたかった」と語った。
社長が新入社員一人ひとりに言葉を掛ける「個別入社式」という形を取ったのはリコー。新入社員はばらばらの時間に出社し、一人ずつホールに呼ばれて社長から激励の言葉を受けた。 (了)