企業年金、「利回り資産」を総点検=アセットオーナー・プリンシプルを推進-JPモルガンAM調査
2025年08月29日 07時00分

JPモルガン・アセット・マネジメントは、「第17回企業年金運用動向調査」をまとめた。確定給付企業年金(DB)等のポートフォリオの配分方針である「政策アセットミックス」について、2025年3月末時点の状況を見ると、国内外の金利環境の変化に柔軟に対応し、主に債券や生保商品などの「利回り商品」の資産配分を見直す動きが見られた。
また、政府が昨年8月に策定した「アセットオーナー・プリンシプル(年金基金等の運用・ガバナンス・リスク管理の原則)」については、回答基金の6割が「受入済み/全面受入予定」と回答した。調査は4~6月に、75の基金等を対象に実施した。
調査結果について、グローバル運用商品部 株式マルチアセット投資戦略室長の國京彬氏に話を聞いた。主なやり取りは以下の通り。
◆金利上昇、生保の「団体年金」が増加
-政策アセットミックスは
國京氏 2025年3月末時点の配分状況を見ると、国内外の株式や債券を代替する第5の資産である「オルタナティブ」と、生保商品などの「一般勘定」が増加した。一方で、「国内債券」と「外国/グローバル債券」が減少した。
まず、「オルタナティブ」だが、プライベート・デット(金融機関以外の融資)やインフラ投資など、流動性は低いものの相対的に高いインカム収入が期待される商品が人気で、ポートフォリオの約25%を占めるに至った。
「一般勘定」だが、生命保険各社は、国内金利が復活する中で、一定の利率が保証されている運用商品「団体年金」の販売に力を入れている。上乗せ金利を設定したり、還元を積極化したりと商品の魅力を高めたことで、配分割合が上昇した。
一方、「国内債券」は、日銀の金融政策正常化の中で、国内金利が次第に魅力的な水準に上昇しつつあるものの、今後も金利上昇(債券価格は下落)が見込まれることから、多くの基金は国内債券の配分を増やすべきか思い悩む動きが見られた。今回の調査では、国内債券の配分割合は低下した。
「外国/グローバル債券」は、日米の金利差を背景に、ヘッジコストが高止まりしており、割合を低下させる動きが続いている。
「株式」など、キャピタルゲインの獲得を目指す商品については、大きな動きは見られなかった。
◆スチュワードシップ活動に対応、約8割
-アセットオーナー・プリンシプルの対応は

國京氏 政府が昨年8月に策定した「アセットオーナー・プリンシプル」については、約6割の基金が「受入済み/全面受入予定」と回答した。
アセットオーナー・プリンシプルは、五つの原則で構成されている。具体的には、<原則1>運用目標/方針の策定と適切な運用 <原則2>体制整備・外部意見の活用・外部委託の強化 <原則3>最適な運用委託先の選定と定期的な見直し <原則4>受益者等への「見える化」 <原則5>スチュワードシップ活動(投資と対話等を通じて企業の持続的な成長を促す)-だ。
アンケートの中で「どのような活動を行うか」を尋ねたところ、約8割の基金が<原則5>の「スチュワードシップ活動」を上げた。企業年金連合会が実施する「スチュワードシップ推進協議会に加盟する」との回答が多かった。<原則1~4>は、「これまでも対応してきた」とする基金もあり、4割~5割の基金が「実施する」と回答した。