公募株式投信(除くETF)、1.3%減の135兆円=2カ月連続で減少-3月の投信概況
2025年04月14日 07時30分
投資信託協会がまとめた2025年3月の投信概況によると、公募株式投信(除くETF)の純資産総額は、前月比1.3%減の135兆6425億円となり、2カ月連続で減少した。
一方、公社債投信やETFを含む公募証券投信全体で見ると、純資産総額は前月比0.9%減の236兆3101億円となり、こちらも2カ月連続で減少した。
月間の新規設定ファンドは40本、償還本数は31本だった。この結果、運用中のファンド本数は前月末比9本増加して、5775本になった。
◆NISAは順調に拡大、22カ月連続で資金流入超

公募株式投信(除くETF)の資金増減額はプラス1兆5899億円で、22カ月連続で流入超となった。少額投資非課税制度(NISA)を通じて個人投資家からの高水準の資金流入が継続している。
一方、運用増減額はマイナス3兆2923億円だった。3月末は、日経平均株価が前月末比4.1%、NYダウが同4.2%、それぞれ低下した。月末の円相場は1ドル=149円52銭と、前月末(同149円67銭)と比較して、ほぼ横ばいだった。
◆「設定」「解約・償還」、どちらも過去1年の平均を下回る
公募株式投信(除くETF)の純資金流入額を「設定」と「解約・償還」に分解すると、「設定」は3兆3911億円だった。過去1年間の平均(3兆7083億円)を下回った。
一方、「解約・償還」は1兆8012億円で、こちらも過去1年の平均(2兆3438億円)を下回った。

◆主な商品分類、いずれも流入超過に
主な商品分類別に資金増減額を見ると、「国内株式型」「海外株式型」「内外株式型」「内外資産複合型」のいずれも資金流入超になった。「海外株式型」は7839億円の流入となっており、前月(7674億円)を上回る高水準の流入が続いている。
◆「積立、分散」がキーワード
4月3日(日本時間2日朝)に、トランプ米大統領が貿易相手国に相互関税を課すことを発表した。市場の予想を上回る規模だったため、各国の株価が急落し、その後も不安定な相場展開になっている。

松下浩一会長は、市場の状況について「米国の関税政策の発表がマーケットを直撃している。マーケットは通常、悪い材料が出ると下落する。今回は、関税による影響がまったく読めない。世界の貿易額が縮小したり、グローバルなサプライチェーンを再構築することを求められたり、さまざまな方面への波及が懸念されるためだ。先行きが見えない怖さが、暴落につながっているのだろう。この状況がいつまで続くか読めないため、市場参加者は非常に憂慮している状況だ」と分析した。
その上で、投資家へのアドバイスについて「まさに『積み立て、分散投資』がキーワードだ。株価が安い時は、継続して積み立て投資する場合には非常に有利に働くので、まさに『貯蓄を投資に回すチャンスだ』ととらえていただきたい。マーケットの大きな変動を怖いと感じて『投資をやめる』ことだけは避けてほしい」と述べた。
個人投資家の動向については「相場が乱高下する中でも、投資を止めず、資金流入が継続していることに、われわれも安心している。こうした中でもパニック的な動きが見られないことは、金融リテラシー向上の効果かどうかは分からないが、非常に驚いている」と話した。
◆未成年や高齢者のためのNISA拡充の要望を検討
政府与党がNISAの拡充を検討していることに関連して、「われわれも、NISA拡充の要望をしたいと考えている。一つ目は、未成年を対象としたジュニアNISAがなくなったので、18歳以下の人が利用できるNISAについて、おそらく今後、要望していく項目になるだろう。二つ目は、高齢者について、NISAで貯めた資金を相続しやすい制度が必要ではないかと考えている」と述べた。
◆家計資産に占める投資信託、初めて6%台に上昇

日銀が発表した資金循環統計によると、日本の個人金融資産に占める投資信託の割合は、2024年12月末時点で6.08%となり、初めて6%台に上昇した。