社会インフラ投資、「継続的な需要」と「安定的なキャッシュフロー」が特徴-社会課題の解決に貢献-米国大手のCEOが来日
2025年04月11日 09時00分

米国の教育施設などの社会インフラに投資するAmerican Infrastructure Partners(AIP)のボブ・ヘルマンCEO兼マネージングディレクターとGrow Schoolsのスチュワート・エリス創業者兼CEOが来日し、米国の社会インフラ市場の現状とニーズ、教育インフラ投資の動向について説明会を開催した。
AIPは2006年、ボブ・ヘルマン氏が社会問題の解決を目指して開設した。教育インフラのほか、橋梁、郵便局、ブロードバンドの基地局などの公共性の高いユニークな投資機会に投資する。
現在、機関投資家のインフラ投資の主流は、交通、電力、水、物流などの「経済インフラ」だ。一方で、地域社会の成長・安全・幸福を支える学校、病院、手ごろな価格の住宅、自治体施設などの「社会インフラ」は多くの機関投資家の投資対象になっておらず、慢性的に資金が不足している。
こうした社会インフラ投資の魅力は、①証券市場と相関しない一貫した需要が見込まれる ②参入者が少なく資金不足のため投資価格が割安 ③カウンターパーティーは政府なので安定したキャッシュフローが期待される ④政府等からの収入はインフレ調整される ⑤社会課題を解決するインパクト効果が見込まれる―などだ。
ただ、大半の資産は小規模で、その性質もさまざまであるため、「拡張可能で標準化された投資機会」を求める機関投資家にとって、参入が難しかった。
これに対してAIPは、各地で地方政府と強いリレーションシップを作り上げ、それぞれの資産に関する綿密なアンダーライティング知識を蓄積することで、特化型のプラットフォームを構築した。
ボブ・ヘルマン氏は、「こうした取り組みにより、『社会インフラ』という未開拓のフロンティアを、機関投資家に投資可能な機会として提供できるようになった」と述べた。
◆教育インフラ投資、生徒の健康、幸福、学業の成功に大きな影響
Grow Schools(AIPのスクールパートナー)は、老朽化した学校施設に投資し、州政府からインカムを受けて投資家に収益を還元しながら、生徒に学習の場を提供している。さらに、公共慈善団体のWonderful Foundationsが地方債を発行し、学校を買い取ってエグジットさせ、地方債の償還時には学校を地元のコミュニティーに寄贈している。
トランプ政権は、教育省を再編し、州に直接流れる教育資金を増額する考えだ。また、学校をめぐる規制も緩和する。さらに、米国の公立学校施設への民間投資を支持するいくつかの政治的見解を示している。
スチュワート・エリス氏は、教育インフラに投資する意義について「施設の改善は、学校に通うすべての生徒の健康、幸福、学業の成功に大きな影響を与えている。低所得地域の学校は、最も切実に施設の改修を必要としているが、資金がなく実施できないため、不平等の悪循環が生まれている。School Infrastructure Partners(SIP)との提携により、支援を必要とする地域社会は、それにふさわしい学校施設を手に入れ、長期的な所有権を保有することができる」と述べた。
-
5
-
1
-
0