「人々の資産形成」と「持続可能な社会の発展」に取り組む=松谷投信協会会長
2021年07月01日 09時30分
投資信託協会は30日、総会と理事会を開き、松谷博司会長と杉江潤副会長を再任した。また、新副会長に、横川直三菱UFJ国際投信社長と、中野晴啓セゾン投信会長を選任した。記者会見した松谷会長は「『人々の資産形成』と『持続可能な社会の進展』という資産運用業界の社会的使命を果たすため、業界一丸となって取り組んでいく」と抱負を語った。
◆資産形成、団塊ジュニアに訴求-松谷会長
松谷会長は、資産形成の現状について「若い世代を中心に、投資による資産形成への関心やニーズが高まり、実際の行動に移す人が増えてきた」と分析。「この動きを社会全体の動きにつなげるために全力で取り組む必要がある」と指摘した。
特に、団塊ジュニア世代(1971~74年生まれ)について「本格的に資産形成を進める、これから20年が極めて大切な時期だ」と指摘。「人生の後半からリタイア後に向けて『何をすべきか』について提案していきたい」と述べた。
◆持続可能な社会へ、グローバルに意見を発信―松谷会長
持続可能な社会の実現に貢献するESG(環境・社会・ガバナンス)投資については、「その定義や開示について、欧米を中心に議論が進んでおり、日本としても積極的に参加しなければいけない」として、協会としてグローバルに意見を発信していく方針を示した。
また、「資産運用会社は、投資先と積極的に対話し、改善のための提案を行うなど、持続可能性な社会の実現に向けて極めて大きな役割を担っていることを自覚し、行動していきたい」と述べた。
◆つみけんターゲット、社会全体の動きに-松谷会長
さらに、協会が設置した「すべての人に世界の成長を届ける研究会(通称:つみけん)」が、資産形成のありたい姿や目標を示した報告書「2041年、資産形成をすべての人に~5つのターゲットと15のアイデア~」に言及。「資産形成を行う個人の皆さん、それを支える金融機関、アドバイザー、国、企業などが、自分たちは何をすべきかを考え、行動に移し、社会全体の動きになるきっかけになればと考えている」と指摘した。
◆お客さまをしっかりサポート-横川副会長
横川副会長は「資産形成のため、新たに投資信託を活用する人が非常に増えてきた」と指摘。「一人ひとりの投資家にとっても、日本経済全体にとっても、国民が長期目線で資産形成に取り組むことは大変、有意義であり、こうした流れが本格化し、広がっていくように活動していきたい」と抱負を述べた。
また、「今後マーケットが厳しい局面に入ったとしても、積み立て投資を行っている人が最初の思いの通りに積み立てを続けてもらえれば、乗り越えていけるのではないか」と指摘。「お客さまをしっかりサポートして、『こうすればいい』とお伝えできることが非常に大切だと思っている」と話した。
◆「豊かな社会へ資産形成が必要」の認識が一般化-中野副会長
中野副会長は「わが国が安定して豊かな社会であるために必要なものの、一丁目一番地が投資信託であり、(投資家と企業をつなぐ)インベストメントチェーンをしっかり回す『かすがい』になっている」と指摘。「協会が推進している改革について、より一層、情報発信していきたい」と抱負を述べた。
また、現状については「(金融庁のリポートが端緒になった)『老後2000万円問題』が反響を呼んで以降、本当の意味で豊かな社会を実現するために資産形成が必要であるという認識が一般化され、資産形成をめぐる環境・土壌が大きく変化した」と指摘した。(了)