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ESG投資の効果を数値化=インパクトを分かりやすく情報開示-三菱UFJ国際

2021年06月24日 11時00分

 三菱UFJ国際投信は、インパクト投資を実践する運用戦略への自分の投資金額が「どのくらい社会に貢献するか」を、推計値で確認できるシミュレーション・ツールの提供を始めた。インパクト投資とは、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した投資手法の一つで、投資のリターンである「経済的利益」と、社会的課題の解決による「社会的利益」の二つの獲得を同時に目指す。これまで把握しにくかった社会的利益を、分かりやすく数値で投資家に伝える狙いがある。

 このツールの提供を始めたファンドは、世界の株式に投資を行う「ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(愛称:ポジティブ・チェンジ)」。経済的利益とともに、好ましいインパクト(社会的変化)をもたらす「平等な社会・教育の実現」「環境・資源の保護」「医療・生活の質の向上」「貧困層の課題解決」の四つのテーマを追求する。厳選した25~50銘柄を5年以上にわたって長期に保有する運用スタイルで、4月には純資産総額が1000億円を超えた。

インパクト・カリキュレーターシミュレーション・ツール「インパクト・カリキュレーター」

 同社のホームページに用意されたシミュレーション・ツール「インパクト・カリキュレーター」に、同ファンドへの投資額を入力すると、「二酸化炭素の削減量」や「疾病予防に貢献した人数」「収穫高増加を支援した面積」など12項目について、得られる効果の推計値が示される。2019年末のポジティブ・チェンジ戦略の保有銘柄をもとに、企業の開示データを集計した。保有期間が1年未満の銘柄や、データを開示していない企業を除いて計算しているため、控えめな数値になっているという。

 欧州では今年3月、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)が施行された。運用会社に対して、「ファンドの運用の中にどのようにサステナビリティ(持続可能性)を取り入れているか」を投資家に説明し、定期的にその効果を報告するように求めている。

 商品プロモーション部推進グループの大島良介グループマネジャーは「社会的課題の解決は一朝一夕にはいかず、ファンドの運用方針や哲学においても長期的な視点が必要だと考えている」と指摘。「運用会社は、投資家に対して商品の透明性を高め、環境等に配慮したように装った『グリーンウォッシング』がないように求められている」と話している。(了)

 

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