楽天証券とIFA、「NISAマイスター®」を展開=ライフプランを立て長期の資産形成を伴走=バリューアドバイザーズの五十嵐社長らに聞く
2024年11月29日 11時00分
少額投資非課税制度(NISA)を活用したライフプランを提案し、その実現をサポートする「NISAマイスター®」を、楽天証券とIFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)が展開している。IFA法人バリューアドバイザーズ(本社東京)の五十嵐修平社長と楽天証券IFA事業部の川勝龍太郎部長に話を聞いた。
-お客さまへの対応は
五十嵐社長 既存のお客さまのアフターフォローを徹底し、満足度を高めていただくことを優先的に行っている。当社のIFAは全員正社員で、日程を決めてお客さまと定期面談を行っている。また、相場が急変したときなどお客さまが不安を抱かれるような局面では、会社の公式LINEで情報発信している。さらに、リアルとオンラインのハイブリッド方式で「お客さま感謝祭」を毎年開催し、有識者などに講演してもらっている。
旧NISAは、時限措置で非課税投資枠が小さかったため、開設していないお客さまも多かった。しかし新NISAは、制度が恒久化され、生涯の非課税投資額が1800万円に拡充されたことから、資産運用に与えるメリットは非常に大きい。新NISA口座を持っていないお客さまをリストアップして、定期面談の際にNISA口座の開設をしっかりフォローしてきた。新NISAのスタートからまもなく1年になるが、当社のお客さまは7~8割が新NISAの口座を保有している。
新規のお客さまには、NISAを組み込んだライフプランを提案し、長期の資産形成を伴走している。
-新NISAの効果は
五十嵐社長 当社は、家族単位でIFAのアドバイスを利用している方が多い。夫婦でそれぞれ毎月5万円を30年間積み立てると、元本部分は合計で3600万円になる。もし、期待リターンが年率6~7%の世界株式で運用すれば、複利の効果で夫婦合わせて1億円の資産になる可能性がある。
こう考えると1億円を目指した資産形成は、決して不可能ではない。もし1億円の資産があったら、お金を使う人が増え、経済が回り出す。企業の売り上げが伸び、業績が拡大すれば、賃金が上がり、ボーナスが増えるかもしれない。それが、さらなる消費や投資につながる拡大する好循環が生まれる。
当社は「金融で日本(ニッポン)を元気に」というビジョンを掲げている。それを達成するために、新NISAは強力なツールになる。
-退職前後世代のお客さまへの対応は
五十嵐社長 当社は、50代のお客さまが多い。私の著書「55歳からでも失敗しない投資のルール」(出版社:クロスメディア・パブリッシング)や「55歳からでも失敗しない保険のルール」(同)を読み、ご相談いただくことが多いためだ。
50代のお客さまは、セカンドライフに向けて漠然とした不安を持っている方が多い。それは、「セカンドライフにいくら資金が必要なのか」「何が起こるか分からない」といった「見えないこと」が原因になっている。
当社では、これを「見える化」するため、ライフプランニングを行って、生活費を確保し、夢の実現のためにいくら必要になるか把握する。セカンドライフに向けて資金不足が予想される方には、しっかりと複利で積み立てたり、働く期間を伸ばしたりしてもらう。ライフプランニングを通して、具体的な資金計画を立て、過去の期待リターンを使った資産額の試算をお見せすることで、不安を解消していただける。
高齢者の資産運用は、世界株式のインデックスファンドだけでは、価格変動が大き過ぎる。怖くなって相場が急落したタイミングで売却してしまったら、損失が発生して最悪の事態になってしまう。50代、60代からの資産運用は、リスクをコントロールした運用が必要だ。こうしたときに、お客さまが一人で考えるのではなく、IFAに相談することで、自分に合った運用プランを見つけることができるだろう。
50代、60代の方は、親の介護資金が必要になったり、子どもの大学の学費がかかったり、ほかの世代に比べて、お金の悩みも多いように思う。IFAが、丁寧なコンサルティングを行い、お客さまそれぞれの資金ニーズにあったアドバイスをしている。
例えばサービス付き高齢住宅を利用するための頭金は、今50代の人でも一般的には20年以上先に使うお金になる。NISAのつみたて投資枠をこうした資金作りに利用し、成長投資枠は、債券を投資対象にする投資信託や高配当株式などインカム収入が得られる資産に投資するプランが考えられる。インカムを重視するならNISAの枠に拘らずに特定口座で債券投資をする事も投資手法の1つだ。資産全部で一つのゴールではなく、お金の使途ごとにゴールを設定し、それぞれに合った運用を行うことができる。
-「NISAマイスター®」の重要性は
五十嵐社長 NISAは運用益が非課税になる制度だ。長期投資で大きな運用益を生み出すことができるので、自分のライフプランにNISAを組み入れて、しっかり活用していくことが大切だ。先ほど、夫婦で1億円の資産をつくるケースを紹介したが、元本部分が3600万円で、運用益は約6000万円なので、運用益に対する約20%税金が非課税になるNISAの効果は大きい。
「NISAマイスター®」は、NISAをどう活用したらいいか、それぞれのお客さまに合ったプラを提案してくれる。NISAの生涯投資枠は1人当たり1800万円に拡大され、家計に与えるインパクトは大きくなっているので、それぞれの夢の実現に向けて選択肢を広げてくれる。ぜひ、「NISAマイスター®」を知り、相談していただきたい。
IFAは生涯にわたったお客さまの資産形成を伴走する。9月に米国でアドバイザービジネスの最前線を視察し、多くの個人投資家がアドバイザーを利用して資産運用している姿を目の当たりにしてきた。米国では長期の資産形成で大きな資産を保有する人が増えているので、安心して管理するためにアドバイザーを利用する人が増えている。
例えば相場が10%下落したとして、資産規模が300万円なら30万円の評価損だが、3000万円の資産なら評価損は300万円になってしまう。大きな資産を抱える米国の高齢者はアドバイザーを利用して資産管理している。日本もこれからNISAやDCを使って長期投資することで、大きな資産を保有する人が増えるだろう。アドバイザーのニーズは高まっていくと予想している。
-楽天証券の取り組みは
川勝部長 楽天証券は、お客さまのファイナンシャル・ウェルビーイング(経済的な幸せ)を目指し、IFAの活動をサポートしている。IFAは、お客さまそれぞれのライフプランの実現に向けて提案を行い、その実現に向けて生涯にわたって伴走してくれる。
IFAのビジネスモデルについては、お客さまの長期の資産形成に資するため、金融商品の売買によって発生する売買手数料(コミッション)を収益の中心にするのではなく、預かり資産残高から発生する信託報酬等の管理料(フィー)を中心とするビジネスモデルを推進している。
新NISA(少額投資非課税制度)は、制度が恒久化され非課税枠が大幅に引き上げられたことで、長期の資産形成にとって「使わない手はない」というような、素晴らしい制度になった。NISAを活用して、お客さまのファイナンシャル・ウェルビーイングやライフプランの実現に資する提案ができるIFAを、楽天証券独自の基準で「NISAマイスター®」に選定している。
選定基準として、①お客さまの潜在的なニーズを把握して最適なソリューションを提供できる ②有効的にNISAを活用して、お客さま一人一人に合ったライフプランを提案できる ③NISAを積極的に活用し、普及に向けて意欲的に取り組む-などに注目している。より多くのお客さまに、「NISAマイスター®」に安心してご相談いただきたいと思う。