投資信託の運用費用を見ることはなぜ重要か?-モーニングスター・ジャパンが調査レポート
2024年11月22日 08時30分
モーニングスター・ジャパンは調査レポート「Predictive Power of Fees(手数料の予測力)日本版2024年」を公表した。一般的には「運用費用の低い投資信託は、運用費用の高い投資信託よりも長期的に存続し、優れたパフ―マンスを示す可能性が高い」として、日本籍の公募追加型株式投信について検証した。
調査は、2024年6月までの5年間で、「世界株式」「日本(大型)株式」「世界債券」「アロケーション(標準型)」について、「当該投資信託が分析期間中に存続し、かつ当該資産クラスのトータルリターンの平均値を上回るパフォーマンスを示した投資信託の割合(成功率)」を算出した。運用報告書で開示された総経費率を使い、コスト水準によってそれぞれを五つのグループに分けて、分析した。
その結果、「世界債券」以外の資産クラスで、運用費用が低いほど成功率やトータルリターンの平均値が高くなる傾向が見られた。
マネジャー・リサーチ部アナリストの橋本直子氏は「運用費用とパフォーマンスの相関の強さは資産クラスにより異なるものの、運用費用が投資信託のパフォーマンスの優劣を予測する重要な要因であることは明らかである」と指摘している。
◆世界株式
最も低いコストのグループが89%の成功率を示す一方、最も高いコストのグループの成功率は11%にとどまった。
◆日本株式
運用費用が低いほど成功率が高くなる傾向が見られた。ただ、運用費用が2番目に低いグループは、インデックスファンドが多く含まれているものの、成功率が低かった。これは、運用コストが低いことだけが、ファンドが優れたパフォーマンスを生み出すことを保証しているわけではないことを示唆している。また、アクティブ運用戦略は、時として高い運用費用に見合った優れたパフォーマンスを生み出すことが可能であることが確認された。
◆アロケーション
運用費用が2番目に低いグループの成功率が顕著に低くなった。この要因の一つは、このグループに含まれる投資信託の30%以上が償還されたことだ。
◆世界債券
主にインデックスファンドで構成される、運用費用の低いグループの成功率が低くなった。これは、アクティブ運用の投資信託が、ポートフォリオを短期のポジションにシフトさせて金利上昇局面を乗り切ったり、クレジット・リスクのエクスポージャーを調整して利益を得たりしためだ。
【モーニングスター】レポート
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