日本の企業改革やNISAを評価=成長率は緩やかに上昇-DWS グローバルCIOのジェシュ氏
2024年10月24日 13時00分
ドイツ銀行グループの資産運用会社DWSのビヨルン・ジェシュ グローバルCIOが来日し、世界経済の見通しを語った。この中で日本については、企業改革や少額投資非課税制度(NISA)を評価、成長率は緩やかに上昇すると予想した。主なポイントは以下の通り。
◆米国経済
予想以上に底堅さを維持している。財政支出による経済対策に加えて、高い個人貯蓄が消費を底上げした。さらに、労働市場の逼迫が賃金上昇につながり、消費にプラスに働いた。
米国の成長率については2024年が2.4%、25年が1.7%と予想している。米連邦準備制度理事会(FRB)は、25年9月までに5回の利下げを実施し、米国経済はソフトランディングするだろう。
大統領選挙は、民主党のハリス氏と共和党のトランプ氏が接戦を演じている。トランプ氏が勝利した場合、拡張的な財政政策が予想されるため、株式やドルにとってプラスに働くだろう。ただ、インフレ的な政策になるため、長期ゾーンの債券にはあまり良くないだろう。一方、ハリス氏が勝利した場合、トランプ氏ほどインフレ的な環境にならないと見られるため、債券の反応は悪くないが、株式は売られると考えている。
◆日本経済
好意的に捉えている。30年間続いたデフレが終焉しインフレ的な環境に移行しつつある。また、企業が株主還元や透明性の確保を重視し、収益を改善するためにさまざまな改革を推進している。さらに、個人投資家の拡大を目指した優遇税制を強化しており、投資が日本に根付くことがとても重要だ。
日本の成長率については、2024年がゼロ%、25年が1.2%と予想している。実質賃金の上昇と内需の回復で、成長率が改善するだろう。日銀は、25年9月までに2回の利上げを実施すると予想しているが、日米の金利差縮小で円高が進み過ぎれば日本の輸出企業にダメージになるので、バランスの取れた慎重な政策が求められる。
10月27日に行われる衆院選では与党が信認され、石破政権は前政権の政策を踏襲すると見ている。
◆欧州経済
欧州株式は、魅力的な一面があるが、一方で政情が不安定で鉱工業生産が低迷しているなど、脆弱性もある。
欧州の成長率については、2024年が0.7%、25年が1.0%と予想している。インフレ率が低下する中で実質賃金が上昇し、個人消費が改善していくだろう。こうした中、欧州中央銀行(ECB)は25年9月までに4回利下げを実施すると見ている。
欧州は、気候変動対策やデジタル・トランスメーションのために大きな投資ニーズがある。EU委員会の調査によると、2030年までに5兆ユーロの投資が必要だとされている。このうち半分は各国政府やEU委員会がコミットしている。残りの半分は民間セクターからの投資が求められており、さまざまな投資チャンスが出てくるだろう。