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日本株に長期的な投資機会=企業改革を評価、さらなる進展に期待-欧州アムンディのグラビン氏

2024年10月24日 12時00分

バリー・グラビン氏

 欧州の大手運用会社アムンディの株式運用部門ヘッド バリー・グラビン氏が来日し、世界経済やマーケットの見通しを語った。この中で、資本効率を重視する日本の企業改革を評価し、「日本株には長期的な投資機会がある」と指摘した。その上で「道のりはまだまだ長い」として、改革のさらなる進展に期待を表明した。

 また、アムンディ・ジャパンの株式運用部長 石原宏美氏は、緩やかな円高が見込まれることから、ボトムアップ調査で銘柄を精査して投資していることを紹介した。主なポイントは、以下の通り。

-日本株の評価は

グラビン氏 日本株には長期的な投資機会がある。日本企業の経営者が資本効率を重視し、バランスシートを改革することは、良いことだ。持ち合い株の解消や株主還元は、ROE(自己資本利益率)の改善につながる。ROEは、分子が収益、分母が自己資本なので、分母のバランスシートを削減することで、改善する。日本株は、収益成長以外のカタリストがあることが魅力だ。

 改革はまだ始まったばかりで、日本株の再評価はこれからだと考えている。私たちが注目している「非事業用資産」は、日本企業の場合、バランスシートの3割程度を占めている。欧米企業は、その半分ぐらいだ。改革のプロセスは長く、更なる改善に向けた取り組みに期待している。

-円高が日本企業に与える影響は

グラビン氏 当社はボトムアップ調査で個別銘柄を分析しており、内需企業に注目している。また、国際的に事業を展開している企業の中には、為替リスクに対応し、ヘッジを実施しているところもある。為替は長期的に大きく動くものであり、様々な外部環境の中でもしっかり収益を出していくことができるビジネスへの投資が重要だ。

石原氏 2024年度を考えると、上期はかなり円安で、一時的に円高に振れる局面はあったが、下期には再び1ドル=150円程度の円安に下落しており、今年度については為替の影響を過度に問題視していない。来年度については、緩やかな円高を予想しており、株価が来期の業績を織り込んでいく段階では、注意していく。

 当社のポートフォリオは、内需株寄りではあるが、外需株の配分も守っており、バランスの取れたアプローチになっている。個別銘柄をボトムアップ調査で分析しているので、外需株については、今年実施した設備投資が来年の収益に貢献することが見込まれる企業など、業績をけん引するドライバーのある企業を精査して投資している。また、事業環境が良く、値上げが浸透、かつ売上を伸ばせている企業であれば、為替が円高に振れても、業績成長に期待ができる。

 日本企業の競争優位性を考えたとき、1ドル=130円を超えるような急激な円高にならなければ、外需企業を含めて業績は堅調であると考えている。

 

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