マーケットニュース

現役世代の金融資産を2倍に=2041年の姿を描く-投信協会研究会が報告書(上)

2021年05月31日 15時08分

2041年、資産形成をすべての人に~五つのターゲットと15のアイデア~2041年、資産形成をすべての人に~五つのターゲットと15のアイデア~(クリックで表示)

 投資信託協会の有識者研究会は31日、報告書「2041年、資産形成をすべての人に~五つのターゲットと15のアイデア~」を公表した。20年後に実現したい「資産形成のありたい姿」を描いた上で、それを実現した姿として「現役世代の金融資産を2倍にする」など五つのターゲットを掲げた。

◆「長期・分散・積み立て」の実践を目指す

 報告書は、昨年5月に発足した有識者研究会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」が作成した。千葉商科大学人間社会学部の伊藤宏一教授ら16人が参加し、これまで資産形成が普及しなかった理由や背景、その解決策などを議論した。この研究会は「“長期・分散・積み立て”による資産形成を実際の行動に」をスローガンに掲げており、通称を「つみけん」としている。

◆資産形成のありたい姿

 報告書では、「2041年の資産形成のありたい姿」について、二つ考え方が認識され、実践されている社会を想定した。その考え方とは、①すべての人が、少しずつ時間をかけて、投資を継続し将来のために備えることが、今この瞬間を大切に生きることにつながる ②すべての人にとって投資を継続することが社会への参画であり、持続可能な社会を創造することに貢献できる-だ。

◆五つの数値目標「つみけん Targets 2041」

 その上で「ありたい姿」が実現されているときに、さまざまな指標がどうなっているかを想定し、五つの数値目標「つみけん Targets 2041」を立てた。

 一つ目が「現役世代の年代別保有金融資産の中央値を2倍」だ。金融広報中央委員会がまとめた「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世代)」の2019年調査に基づき、各世代の目標額を、20歳代で330万円、30歳代で710万円、40歳代で1100万円、50歳代で2000万円、60歳代で2400万円とした。平均値ではなく、中央値を指標とすることで、世代全体での水準アップを図る。

 これを実現するには「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」や「確定拠出年金(DC)」など、税制上の優遇措置を受けることができる積立制度の利用を促進することが、必要だ。また、世界経済の成長を資産形成に取り込むため、国際分散投資の必要性を理解し、実践してもらうことも、大切になる。

 過去のリスク・リターンのデータを使い、国際分散投資によって20歳から60歳まで、20代で毎月1万円、30代で同1.5万円、40代で同2万円、50代で同3万円を積み立て投資したケースをシミュレーションしたところ、拠出総額(900万円)に対して、その時価評価は平均値・中央値とも2000万円を超えた。

 同研究会は「長期の国際分散投資によって、目標となるような資産を形成することは決して不可能ではなく、少なくとも拠出額を大きく下回るような確率はかなり低いと考えられる」と分析している。

◆非課税積立制度、件数は3倍、残高は10倍

 二つ目は、「つみたてNISAおよびDC等による積み立て投資総件数を4000万件」だ。現役世代の半数が、つみたてNISA、DC、一般NISAや証券口座で積み立て投資を実践し、このうち半数が複数制度を利用している社会を想定している。現在(約1300万件)の3倍に増やすことを目指す。

 三つ目は「つみたてNISAおよびDCの残高を150兆円」だ。現役世代の半数が非課税制度を利用し、年代ごとに積立額を増やしながら国際分散投資を実践しており、このうち半数の人が複数の制度を利用している状況を想定した。現在の非課税積立制度の残高は14.7兆円なので、それを10倍にする目標だ。

◆リスク資産の保有者と教育は100%

 四つ目は「株式や投資信託を保有している人の割合が100%」。投信協会の「投資信託に関するアンケート調査(2019年度)」による推計値は28.8%にとどまっており、この値が100%になることを目標にした。

五つ目は「金融教育を受けたことのある人の割合が100%」。金融広報中央委員会の「金融リテラシー調査」(2019年)では、9.1%だった。金融教育をめぐっては、来年度から文部省が定める教育カリキュラムが変更され、高校の授業に「投資」などが取り入れられる。さらに、企業が実施するDCの導入時・継続教育や、金融機関のセミナーなどを通じて、アンケートの回答が100%になることを目指す。

◆今年度は「ESG」「リタイア層」など議論

 研究会は、今年度も活動を継続し、「団塊ジュニア層の資産形成」「リタイア層の資産活用」「ESG(環境・社会・ガバナンス)投資に係るターゲットの設定」などについて、議論する予定だ。また、五つのターゲットの進展状況をチェックするため、DCやNISAの実施件数など16の指標について、投信協会のホームページにまとめて掲載し、モニタリングしていく考えだ。

 

メールマガジン
最新のリアルタイムマーケットニュースとデータをお手元に