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投信の保有者比率、18%と過去最高=新NISAで20~40歳代に浸透=野村アセット調査

2024年06月14日 08時00分

(出所)野村アセットマネジメント資産運用研究所「投資信託に関する意識調査2024」(出所)野村アセットマネジメント資産運用研究所「投資信託に関する意識調査2024」(クリックで表示)

 野村アセットマネジメントが実施した「投資信託に関する意識調査2024」によると、投資信託の保有者比率は前年比5.7ポイント上昇して18.0%となり、08年の調査開始以来、過去最高になった。調査は今回、2月28日~3月4日に全国の20歳以上の男女2万5764人に実施した。

 1月にスタートした新しい少額投資非課税制度(NISA)を利用するために20~40歳代の保有者比率が大きく伸びた。60代以上ではNISAの利用よりも、低金利のためにお金が増えないことがきっかけで投資を始めたという回答が多かった。

◆新NISA利用者は13%

 この調査で、新NISAの「つみたて投資枠」か「成長投資枠」のどちらか一つでも利用している人を調べたところ、その割合は13%だった。新NISAの良い点を尋ねたところ、「運用益が非課税になる」(41%)と「非課税保有期間が無期限である」(21%)が、特に評価された。

 また、NISAを利用する資金源は「預金などを利用(退職金、相続財産を除く)して」が約4割、「(給与など)収入の一部を利用して」が約3割を占めた。同社では「新たにリスク資産への資金流入が始まっており、『貯蓄から投資』への資金の流れが、今後本格化する可能性が見えてきた」と分析している。

 一方、残りの87%は、新NISAを利用しておらず、今後の普及拡大の余地はまだ大きいことが分かった。利用していない理由を尋ねたところ、「制度の内容がよく分からないから」が18%、「投資に回せるお金がないから」が17%、「損をしたくないから」が16%を占めた。

 また、「(理由は)特にない」とする回答が38%あった。同社では「『そもそもNISAに目が向いていない、NISAを意識したことがない』、資産運用をしていない人にとっては『敷居が高い』といった理由も考えられるため、『気づき』の機会を設けることも重要だろう」と分析している

◆金融リテラシー、OECD平均を下回る

 さらに、経済協力開発機構(OECD)の金融リテラシーに関する問題を使って、「金利」「複利」「インフレ」「リスク・リターン」「分散投資」の定義などを尋ねた。この調査の参加者の正答率は平均で43%と、OECDの平均(65%)を下回った。

 「この程度のレベルの知識であれば、若いうちに身に付けておくことが望ましい。米英豪では学校のカリキュラムに基礎的な金融教育が含まれ、一定の金融リテラシーを身に付けていると思われる」という。

 調査の中で、金融教育を受けた経験を尋ねたところ、「経験あり」は8%にとどまった。ただ、受講後の行動変化を見ると、「投資を始めた」が35%、「投資額を増額した」が18%で、両者を合わせると半数を超える人に良い効果を与えていることが分かった。

 4月には官民が出資する金融経済教育推進機構が発足した。金融経済教育を受講する機会の拡大が、期待される。

 

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