20代社員が同世代に情報発信、「つみプロ」が4年目に=インスタグラマーと協働など多彩に展開-三菱UFJアセット
2024年05月29日 09時30分
三菱UFJアセットマネジメントの20代社員が同世代に情報発信する「20代から始めるつみたて投資project(略称:つみプロ)」が4年目に入った。インスタグラマーと協働してオンライン・ミーティングを開催したり、母校でセミナーを開いたり、若者ならではの視点と行動力で、新しい情報発信の在り方を切り開いている。
このプロジェクトに参加する商品マーケティング企画部の武部仁美氏と小泉瑛毅氏に話を聞いた。
◆等身大のメッセージ
-発足の経緯は。
小泉氏 「つみプロ」は、2021年にスタートした。当時は、コロナショックで外出を控えるようになって、自分の将来設計を考える人が増えた。そうした中で、投資が少しずつ広がり始めていた。ただ、20代の若年層は、他の世代と比較するとまだまだ投資する人が少なかった。
「つみプロ」は、同世代の20代社員が等身大でメッセージを発信し、投資や資産形成に正しいイメージを持ってもらおうとスタートした。メンバーは、社内のさまざまな部署でそれぞれの業務をこなしながら、「つみプロ」に参加している。それぞれに視点が異なり、いろいろな意見が集まることで、アイデアを深掘りできるメリットを感じている。
-大切にしていることは。
武部氏 同世代なので、金銭感覚が近く、ライフイベントに対する考え方も共感できる。また、お互いに話しやすく、質問しやすい。「分からないこと」、「疑問に思ったこと」を、そのまま素直に発信してもらえるような関係性を大切にしている。同じ目線に立って、同じ方向を向いて、「長期・分散・積立」といった基本的な資産形成の方法を伝えている。
◆既存のコミュニティーに入っていく
-2023年度の活動は。
武部氏 高校や大学といった学域での講義やセミナーや、インスタグラマーとのコラボレーション・ミーティングなどを開催し、イベント動員数は800人を超えた。前年度は73人だったので、その反省を踏まえて、既存のコミュニティーへ参画するかたちで接点を拡大したことで、動員数は10倍強に増えた。
まず学域だが、コロナが終息し社会生活が正常化に向かう中で、大学や高校で対面のセミナーや講義を5回開催し、10代や20代の方たちと直接触れ合う機会を作ることができた。大学であれば母校の教授に話をして、自分たちの力でセミナーの実現に向けて交渉を進めた。
次にオンラインだが、今年2月には「第2回インスタグラマー・ミーティング」を開催した。2022年度に第1回を開催したときは申込者数が7人だったが、今回は160人に大幅に増員することができた。投稿閲覧数も総計で7万2000件を獲得した。金融に強いインスタグラマーとコラボして参加者を募集したことが、奏功した。インスタグラムは20代、30代の利用者が多く、この世代は投資情報もインスタグラムから収集している印象がある。
今年3月には、Global Money Weekの活動として、オンラインで資産運用セミナーを開催した。事前に質問をいただいて、それに回答することで、同世代の疑問に答える内容になるように工夫した。
2023年3月にはラジオ番組で「つみプロ」を紹介していただいた。最近は、若者の間でラジオを聞く習慣が見られる。さまざまなメディアを活用して、同世代へのアプローチ方法を模索している。
◆寄り添う存在になる
-活動を通じて感じたことは。
小泉氏 2024年1月に新しい少額投資非課税制度(NISA)がスタートしたことで、投資に関心を持つ人がかなり増えたように思う。また、高校家庭科のカリキュラムに金融教育が採用されてことで、学校現場でも受け入れの機運が高まっていることを感じる。
大学で講義の前に、アンケートで「投資に対するイメージ」を尋ねたところ、「難しい」「リスクがある」「損をする」「怖い」といったマイナスのイメージが多かった。ただ、講義の後では、「投資をしたい」といったプラスの回答に変わる人が多かった。
武部氏 同世代の若者の間でも、二極化が進んでいることを感じる。積極的に投資している方からは、NISAの「つみたて投資枠」だけでなく、「成長投資枠」をどう使ったらいいだろうか、といった前向きな質問をいただいたりする。長期の資産形成においては、相場が変動することもあるだろう。そうしたときにどのように対応したらいいか、しっかりフォローアップしていきたい。
-2024年度の活動予定は。
小泉氏 新NISAの追い風は、2024年度も続くと思う。投資家の裾野拡大に力を入れていく。さらに、投資をスタートした人が投資を継続していけるように、株式市場が急落した際に不安になって投資をやめてしまうことがないように、同世代として、しっかり寄り添ってサポートする存在になりたいと考えている。
武部氏 運用会社ならでは切り口として、ファンドの品質を高めるために実施している「プロダクト・ガバナンス」の取り組みを伝えていきたい。また、リスクとリターンの関係性についても、もう少し深掘りして説明することで、ポートフォリオマネジメントを考えるお手伝いをしていきたい。