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アジア太平洋地域、気候変動対策でカギとなる企業が多数=日本は水素燃料を推進-MSCIレポート

2024年05月29日 08時00分

渡部健司ヴァイスプレジデント

 米国の経済調査会社で指数算出を行うMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は、アジア太平洋地域(APAC)の企業について、気候変動対策の進捗状況をまとめた「アジア太平洋 クライメート・アクション・プログレス・レポート」を公表した。

 MSCI ESG & Climateリサーチの渡部健司ヴァイスプレジデントは「昨年、ドバイで行われた第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)で採択された世界規模の再エネ導入3倍、省エネ効率2倍という目標を達成するために必要なカギとなる企業が、APACに多く存在している」と指摘、「それら企業は、気候変動緩和策として期待される環境技術について質の高い特許を取得し、研究開発と普及のスピードとスケールを加速させている」と評価した。

 また、日本について「水素燃料のサプライチェーンを構築するために研究開発や実証実験のスピードを上げている企業などが多くあり、日本政府は水素関連市場の規模を拡大させるために多国間での支援枠組みの構築を進めている」と紹介し、「今後、この多国間での共同支援策を活用することで、企業は普及のスケールを獲得できる可能性がある」と分析した。

 レポートでは、バリューチェーン排出量と気候変動緩和目標の開示について、「気候変動対策に関する透明性や説明責任の明確化に進展がみられたが、市場によって進捗状況はさまざまだ」と指摘した。

(出所)APAC Climate Action Progress Report (May2024)(出所)APAC Climate Action Progress Report (May2024)(クリックで表示)


 「スコープ1、2、3」の排出量を開示した企業の割合は、ニュージーランド(71%)、日本(44%)、オーストラリア(41%)だった。また、2024年以降の気候目標を設定している企業の割合は、ニュージーランド(88%)、日本(73%)、香港(66%)だった。

 

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