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〔マーケット見通し〕経済の正常化を見極めつつ、株価は堅調推移か-日興アセット・神山氏

2021年04月15日 07時39分

神山直樹チーフ・ストラテジスト

 日興アセットマネジメントは、四半期ごとにまとめる経済見通し「グローバル・フォーサイト」の2021年春号を発表した。新型コロナウィルスで停滞した経済が正常化する中で、日米の株価は堅調に推移すると予想している。神山直樹チーフ・ストラテジストは「今ある情報の『確からしさ』が高まり、リスク要因が縮小することで、来年3月末の日経平均株価は3万3000円程度に上昇すると想定している」と話している。

 米国では、バイデン大統領は3月に1.9兆ドル規模の追加経済対策法案に署名した。トランプ前政権時代からの合算で、財政出動の総額は5.7兆ドルに達している。現金給付や失業手当が拡充されたことで、人々の手元に多くのお金が保管されており。コロナウィルスの感染が抑制されれば、お金を使う意欲も高まるとみられている

一方で、ワクチン接種が広がり、その効果が出てくる中で、人々の生活は正常化に向けて動き始めた。景気サイクルの回復に、財政政策の効果が上乗せされるので、世界の株価指数は、コロナショック前の水準を上回ると予想される。

 米国経済が正常化する中で、米国金利が低下して円高になるというシナリオは起きにくくなっている。円相場はこのところ1ドル=105~115円のレンジで動いてきたが、米国がワクチン接種で先行し、経済の正常化も日本をリードしていることから、来年3月末に向けて1ドル=114円程度のドル高(円安)になると予想している。

 今後のリスク・シナリオは(1)米国のバイデン政権が早い段階で規模の大きな増税を打ち出す(2)ワクチンの有効性が低下する(3)現金給付等で得たお金が貯蓄に回り、消費が増えない-などだが、時間の経過とともに、こうしたリスクが小さくなることで、株価は緩やかに上昇していくとみている。(了)

 

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