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外国株ファンドの保有者が拡大=NISAなど優遇制度で-投信協会アンケート②

2021年03月25日 17時07分

資信託に関するアンケート調査(制度編)資信託に関するアンケート調査(制度編)(クリックで表示)

 投資信託協会がまとめた「投資信託に関するアンケート調査(制度編)」で、少額投資非課税制度(NISA)などの税制優遇制度を利用している人に運用商品を尋ねたところ、いずれの制度でも「外国株式に投資するファンド」の保有者が増加していることが分かった。

 これに対して、松谷博司会長は「結果として、海外株式ファンドへの投資が増えていることは正しいことだが、『なぜ海外株式ファンドに投資するのか』を理解しておくことが重要だ」と指摘した。「もし『現在のパフォーマンスが良い』という理由で、海外株式のファンドに投資しているのであれば、相場が下落したときに、投資をやめてしまうという残念な結果を招きかねないからだ」という。

 松谷会長は「投資では、リスクをコントロールすることが重要であり、その柱となるのが『国際分散投資』だ」と強調した。「日本企業に勤め、日本円で給与をもらい、日本の資産を持っている日本の個人投資家にとって、自分の資産の一定程度を海外資産に投資して、『国際分散投資のポートフォリオ』を作ることは、リスク管理の面で適当なことだ」という。

 その上で「若い人は、長い時間をかけた投資が可能でリスクを取れるので、海外株式ファンドを積み立て投資で購入して『国際分散投資のポートフォリオ』を作っているのだということを、しっかり理解していただきたい」と述べた。

 調査は昨年11月、全国の20~79歳の男女2万人を対象に、インターネットで実施した。以下で、各制度の概要と調査結果をまとめた。

◆NISA

(表1)NISAの保有商品(表1)NISAの保有商品(クリックで表示)

 2014年にスタートした投資優遇税制。年間120万円(最大600万円)まで、運用益等が非課税になる。非課税期間は5年で、ロールオーバーが可能。投資できる商品は、投信のほか、株式や上場投信(ETF)、不動産投信(REIT)など幅広い。

 アンケートで、運用商品を複数回答可で尋ねたところ、トップは「株式」の62.6%(前年調査比0.4%減)で、前年とほぼ横ばいだった。2位の「国内株式に投資するファンド」は16.4%(同0.3%増)。3位の「海外株式に投資するファンド」は15.0%(同2.4%増)と増加した。(表1)

◆つみたてNISA

(表2)つみたてNISAの保有商品(表2)つみたてNISAの保有商品(クリックで表示)

 2018年にスタートした積み立て投資を優遇する税制。年間40万円(最大800万円)まで、運用益等が非課税になる。非課税期間は20年。投資できる商品は、信託報酬が一定水準以下など、金融庁が長期投資に適していると認定した投信(ETF含む)に限定される。

 アンケートで運用商品を尋ねたところ、トップは「外国株式に投資するファンド」が42.4%で、前年調査より8.4ポイント増加した。2位は「国内株式に投資するファンド」で32.0%(前回調査比1.5%増)。3位は国内債券で20.4%(同5.5%減)だった(表2)。

◆企業型DC

(表3)企業型DCの保有商品(表3)企業型DCの保有商品(クリックで表示)

 2001年にスタートした企業年金。主に企業が拠出した掛け金を、従業員が運用する。年金なので原則として60歳まで引き出せないが、掛け金が非課税になるなど税制優遇は手厚い。企業型DCだけを実施する企業では、月額で最大5万5000円(年間66万円)まで掛け金を拠出できる。投信のほか、定期預金や保険商品も購入できる。

 アンケートで運用商品を尋ねたところ、昨年までトップだった「定期預金」は35.1%(前年調査比4.9%減)となり、2位になった。一方「国内株式に投資するファンド」は38.7%(前年調査比3.5%増)でトップに立った。3位は「外国株式に投資するファンド」が34.7%で、前年調査に比べて6.7ポイント増加した(表3)。

◆iDeCo

(表4)iDeCoの保有商品(表4)iDeCoの保有商品(クリックで表示)

 2001年にスタートした個人年金。対象者は当初、会社員や自営業者に限られていたが、2017年に公務員や主婦(主夫)に拡大され、ほぼすべての国民が加入できるようになった。掛け金は自営業者が月額で最大6.8万円(年間81.6万円)、主婦(主夫)が同2.3万円(同27.6万円)、公務員が同1.2万円(同14.4万円)など。投資できる商品は、企業型DCと同じ。

 アンケートで運用商品を尋ねたところ、「外国株式に投資するファンド」が36.9%で前年調査より6.6ポイント増加してトップに立った。2位は「国内株式に投資するファンド」で31.6%(前年調査比1.7%減)。3位は「定期預金」で29.8%(同4.5%減)だった(表4)。

 

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