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人気の「高配当株」のインデックスファンドを設定=「Tracers」の第6弾-日興アセット

2024年02月13日 12時00分

金澤拓也氏

 日興アセットマネジメントは、ネット専用のノーロード・ファンドシリーズ「Tracers(トレイサーズ)」の第6弾として、個人投資家に人気の高配当株を対象にした「日経平均高配当株50指数」に連動する投資成果を目指すインデックスファンドを設定した。公募投信(除くETF)で、この指数を参照するファンドは、初めて。

 ファンド名は「Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)」。新しい少額投資非課税制度(NISA)の成長投資枠の対象商品で、1月31日の設定以来、順調に個人投資家の資金を集めている。

 商品開発部バイスプレジデントの金澤拓也氏に、ファンドの特徴や設定の狙いなどを聞いた。

◆優良な大型株のポートフォリオ

-「日経平均高配当株50指数」とは。

金澤氏 日経平均株価の構成銘柄のうち、予想配当利回りの高い50銘柄で構成する指数だ。指数を計算する際、予想配当利回りと流動性を配慮してウエート付けを実施して、これらの要素の優れた銘柄の比重を高めている。

 日経平均株価の段階で既にしっかりした銘柄が選定されているが、その中でもさらに、配当利回りが高く、流動性のある銘柄を集めており、優良な大型株のポートフォリオになっている。

 さらに、例えば「三期連続赤字になった」「期末無配予想になった」など業績が悪化した銘柄を指数から外す仕組みも組み込んでいる。「株価が低いために高配当株に見える」といった目的に合わない銘柄は、指数に入らない。

 この指数は、市場全体の動向を表す「時価総額加重平均型」の指数と異なり、特定の要素に基づいて中長期的に市場平均を上回るリターンを目指す「スマートベータ型」の指数だ。

◆日経平均株価を上回るパフォーマンス

-指数のパフォーマンスは。

(出所)日興アセットマネジメント(出所)日興アセットマネジメント(クリックで表示)


金澤氏 2001年12月末から2023年12月末までの指数のパフ―マンスを見ると、日経平均高配当株50指数のリターンは、年率12.7%と日経平均株価(同8.3%)を上回った。一方、リスクは、この指数が年率17.4%と日経平均株価(同18.3%)を下回った。

 過去のトラックレコードでは、この指数は日経平均株価を大きく上回る投資成果を上げている。「配当利回りが高い銘柄」は「割安株(バリュー株)」でもある。相対的に高い配当の蓄積に加え、割安な銘柄が見直され、市場平均をアウトパフォームする効果が積み上がったものではないか、と分析している。

 短期的に見れば、成長株(グロース株)が優位なマーケットもあるが、マーケットが上昇する局面では市場全体の値動きに追随する一方、マーケットが下落する局面であっても、配当の高さが評価され、下値耐性を発揮する傾向が見られる。


◆東証の市場改革が追い風に

-今後の投資環境は。

金澤氏 東証は、株主還元を後押しする政策を推進しており、今後もこの指数に追い風になるだろう。

 東証は昨年3月、上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営」を行うように要請した。「株価が割安だ」と感じている企業ほど、自分事として真剣にこの要請を受け止め、情報開示を拡充するなど積極的に対応している。

◆分かりやすいインデックスFで高配当株に投資

-Tracersのコンセプトである「こんなの欲しかった」を実現した部分は。

金澤氏 今、株式市場では高配当株が人気だ。ただ、高配当株に投資する公募投信は、アクティブ運用のファンドが中心で、この指数に連動するファンドはETFが1本のみだった。

 第6弾となった「Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)」は、「分かりやすいインデックスファンドで、コストを抑えて高配当株に投資したい」というお客さまの要望に応えるファンドにした。

 また手数料についても、信託報酬を年率0.10725%(税込み)と、競争力のある水準に設定した。

◆インカム収入を安定的に還元

-分配金の考え方は

金澤氏 高配当株の魅力の一つは、相対的に高いインカム収入があることだと思う。退職後世代では、インカム収入を生活費等に充当するニーズもあるだろう。

 このファンドは、奇数月分配型にした。2024年9月以降の毎決算時に分配金の支払いをめざしている。配当金の水準については、ポートフォリオの配当利回りを踏まえつつ総合的に判断していきたいと考えている。

◆スタイル分散や地域分散に効果も

-どのような投資家を想定しているか。

金澤氏 分配金を受け取りたいという投資家に加えて、過去のトラックレコードで高いパフォーマンスを残しているので、キャピタルゲインとインカムゲインの両面からリターンの獲得を目指すお客さまにも向いているだろう。

 また、海外のテクノロジー株などの成長株(グロース株)に投資するファンドを保有しているお客さまは、このファンドをポートフォリオに加えることで、地域分散やスタイル分散ができるだろう。

 これまで長い間、日本株は注目されることが少なかった。このため、日本の投資家の保有資産を見ると、自国資産の投資比率が高くなる「ホーム・バイアス現象」ではなく、海外資産を多く保有する「逆ホーム・バイアス現象」が見られる。魅力的な日本株ファンドを提供することで、「日本株の投資比率を高めたい」という投資家の声に応えたい。

 

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