日本は「世界経済のブライト・スポットに」-フィデリティ「アナリスト・サーベイ」
2024年02月08日 13時00分
外資系運用会社大手のフィデリティ投信は、フィデリティ・インターナショナルがまとめた「アナリスト・サーベイ2024」を公表した。
この中で日本企業について「売上高と利益の成長見通しが他市場を圧倒しており、2024年に世界経済の『ブライト・スポット(輝く場所)』になる」と分析した。調査は昨年12月、フィデリティが全世界に展開するアナリスト137人に実施した。
調査の中で「今後12カ月で担当セクターの事業環境はどのサイクルに入ると考えているか」と尋ねたところ、日本を担当するアナリストでは、88%が「拡大サイクルに入る」と予想した。これは、ほかの地域のアナリストと比較して最も高い水準だった。
調査を統括したギータ・バル氏(債券リサーチ・グローバル責任者)は「このような見方が多いことには明確な理由がある。日本経済は20年以上におよぶ景気後退・停滞からようやく脱却し、幅広い分野で物価上昇の兆しが見え始めたからだ」と指摘した。
日本企業の多くは2023年に値上げに踏み切ったが、顧客からの反発をほぼ回避し、ある程度のコストを価格に上乗せすることができた。日本企業のアナリストの全てが「経営者は今後12カ月で利益成長すると見込んでいる」と回答した。
一方、懸念材料は「地政学リスク」だ。「日本企業を担当するアナリストは、国際的な緊張の高まりがもたらす影響について、他のどの国・地域のアナリストよりも警戒している」という。
例えば、日本の素材セクターを担当するKarens Muljadi氏は「半導体を巡る米中の争いを受けて、生産拠点を分散させるために設備投資を過剰に行う可能性が考えられる。どちらか一方の側に立つことでもう一方の収益源を失う最悪のシナリオもある」と指摘。
自動車メーカーを担当する伴大智氏は「米中貿易摩擦の中で米国が自動車の現地生産を大きく推進させたり、中国が電気自動車の生産に不可欠な原材料の輸出を抑制したりすれば、日本の自動車メーカーもコスト上昇に直面するだろう」と分析している。
【ニュースリリース】フィデリティ・インターナショナル、アナリスト・サーベイ2024を発表
https://www.fidelity.co.jp/articles/press-releases/2024-02-07-analyst-survey-2024-1707186481347