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〔マーケット〕日本経済、構造変化の好機に=「人・モノ・カネ」の不足が継続-日興アセット・神山氏

2024年01月22日 10時00分

神山直樹チーフストラテジスト

 日興アセットマネジメントは、四半期ごとにまとめる経済見通し「グローバル・フォーサイト」の2024年新春号をまとめた。神山直樹チーフストラテジストは、日本経済について「外需と内需の両面から『人・モノ・カネ』が不足する状況が継続しており、経済の構造が変わろうとしている」と指摘した。主なポイントは以下の通り。

◆米国経済

 米国経済は、雇用の増加ペースが緩やかになってきた。成長の勢いを失っていくが、景気後退にはならないと予想している。個人消費が横ばいに落ち着く中で、米国の輸入も横ばいで安定すると見ている。

◆日本経済

 日本経済は、輸出が高い水準を維持する中で、人・モノ・カネの不足状況が継続するだろう。外需産業では、生産能力を超えた販売が続く中で、賃金を上げて雇用を増やしたり、設備投資で生産能力を増やしたりするニーズが強まり、お金の需要も高まるだろ。

 内需産業は、人手不足のためにコロナ禍からの回復需要を満たし切れていない。内需産業でも雇用を増やし、設備投資を行う状況が強まっている。内需と外需の両方に支えられ、デフレ体質だった日本経済の構造が変わろうとしている。

◆日米の金融当局

 米国の中央銀行は、臆病と思われるほどに慎重に利下げを進めていくと見ている。賃金上昇率の鈍化が緩やかなため、インフレ再燃の懸念が残るためだ。

 一方、日本の中央銀行は、インフレ状態を維持することを目指している。春闘のベースアップの状況などを見極めながら、マイナス金利の解除について、慎重に対応を進めるだろう。

 経営者は、値段を上げても製品が売れるという見通しを持てば、賃金を引き上げる。賃金が持続的に上昇し、賃金上昇率がインフレ率を上回れば、消費が維持され、企業がモノを生産する。2024年は、こうした「賃金と物価の好循環」が生まれると予想している。

◆マーケット見通し

 2024年12月末の円相場は、1ドル=134円と緩やかな円高を見込んでいる。また、日経平均株価は3万6500円を予想している。

 

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