ウォール・ストリート・ジャーナル
コモディティコンテンツ

マーケットニュース

キャピタル、「老後のお金」テーマに立教大で出張授業=社会保障と個人の資産形成

2023年07月25日 08時00分

森戸教授

 米系運用会社のキャピタル・インターナショナル(本社東京、小泉徹也社長)はこのほど、立教大学法学部のゼミで「老後のお金」をテーマに出張授業を行った。小泉社長と厚生労働省社会保障審議会委員で年金部会長の森戸英幸慶応義塾大学法科大学院教授を講師に「社会保障における個人の資産形成の位置づけ」や「投資教育」について議論した。

◆公助・共助・自助=投資教育が重要に-森戸教授

 森戸教授は、老後の社会保障について「公助(公的年金)・共助(企業年金・退職金)・自助(貯蓄や投資)を組み合わせて老後を乗り切ることが大切だが、少子高齢化の影響で『自助』の比重が高まっている」と指摘した。

 その上で、自助の基本となる投資教育について「従業員は、正しい『投資教育』によって老後の所得を確保できるようになるだけでなく、人生について自ら考え、自律的に行動できるようになる」と述べ、その重要性を強調した。

◆普通の勤労者が長期に継続的に行うこと=投資とは-小泉社長

小泉社長

 小泉社長は、投資の意義について「一人ひとりの投資額は少額のであっても、投資信託という仕組みでお金をまとめ、長期的に成長していく企業に投資して、その企業の持続的な成長を支えることで、経済と発展させ、人々の生活を豊かにできる」と説明した。

 また「投資は、お金持ちだけがやるものではない。普通の勤労者が、生活の一部として若いうちから長期に継続して取り組むことが大切だ」と指摘し、ファンドの過去データを使って積立投資の成果を試算したグラフなどを説明した。

◆「投資教育の在り方」で法律案を作成-学生ら

 その後、学生たちは4~5人のグループに分かれ、森戸教授や小泉社長を囲んで議論した。投資については「危険なものだというイメージがあったが、長期に取り組むことで、誰にでもできることが分かった」「投資は、自分たちの生活を支える企業を応援する意義があることが分かった」などの声が聞かれた。

 また、投資教育については「セミナー形式だと受動的になってしまう。少額でも実際に自分で投資してみることが大切ではないか」「疑問に思ったことを相談できるアドバイザーが欲しい」「自分の将来を考えることができる年齢になったら、小中学生から投資教育を実施すると良いのではないか」といった意見が出た。

40年間積立投資を行った場合の投資成果40年間積立投資を行った場合の投資成果(クリックで表示)

 学生たちは、こうしたアイデアを「投資教育の在り方に関する法律案」にまとめ、キャピタル・インターナショナルが主催するコンテストに応募する考えだ。

◆資産形成を考える「きっかけ」に-島村教授

 このゼミを担当する立教大学法学部の島村暁代教授は「学生たちは日頃、労働法や社会保障法を学んでいる。制度の概要は勉強できても実務については分からないことが多いのでこういう機会は有難い」と指摘した。また、金融教育の意義について「お金で時間を買うことはできない。若いうちから、少額を継続的に積立投資するきっかけを与えることは大切だ」と述べた。

 

ウォール・ストリート・ジャーナル
オペレーションF[フォース]