国内公募投信にて、米国株をレンディング=インデックス運用で、パフォーマンス向上をめざす-三菱UFJ国際投信
2023年06月14日 13時00分
三菱UFJ国際投信は、インデックスファンドの運用パフォーマンス向上のため、ファンドが保有する有価証券(米国株式)を証券会社に貸し付けるレンディング開始に向け準備を始めた。国内の公募投信(除くETF)で、米国株式のレンディングを行う事例は珍しい。
レンディングとは、保有株式等から安定した収益を獲得する手段のひとつとして、ファンドで保有している株式等を証券会社等に貸し付けることで貸借料を受けとり、ファンドのパフォーマンス向上につなげる仕組みだ。
インデックスファンドは、指数に連動する投資成果を目指すが、信託報酬等のコストの分だけ指数よりパフォーマンスが低下してしまう。同社は、コストの削減やきめ細かな資金管理に加え、保有資産を活用して収益を生み出すことで、ファンドのパフォーマンスを向上させることを目指す。
米国株式のレンディングを行う予定のファンドの一例(実質的には投資先マザーファンドにて実施)としては「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」。ファンドの運用方針などを定めた約款を変更し、レンディングにより収受した収益について、一部(50%未満)を信託報酬として委託会社と受託会社が収受できるようにした。収益の過半はファンドの収益として計上することでパフォーマンスの向上につなげていく。証券会社等を経由して、個人投資家やヘッジファンドなど株式を売り建てるプロの投資家に、米国株式を貸し出す。実施に向け、三菱UFJ信託銀行(再信託受託会社は日本マスタートラスト信託銀行)と新しいスキームを構築している。
レンディングに当たっては、証券会社から株式等の100%超に相当する担保を差し入れてもらうほか、貸出先の証券会社の信用力について日次でモニタリングする方針だ。「安全性を第一に株式等の貸し付けを行う。期待される収益はそれほど大きなものではなく小さな積み重ねだが、インデックスに対する連動性とパフォーマンスの向上を追求していきたい」と話している。
株式等のレンディングは、既に日本株式に投資する一部ファンドで実施している。外国株式は、日本株式と比較して企業の合併やスピンオフ(分離・独立)が多いことから、運営に支障がでないよう銘柄管理を徹底する。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の純資産総額は、約2兆2000億円と上場投信(ETF)を除く国内公募投信でトップだ。
同社は、個人投資家を対象とした懇談会「ブロガーミーティング」を長らく開催しており、個人投資家のさまざまな質問に答え、要望などをヒアリングしている。5月のミーティングでは、「eMAXIS Slim」の基本理念やレンディングについて説明した。(了)
【お知らせ】有価証券の貸付(レンディング)に関する約款変更(予定)のお知らせ=三菱UFJ国際投信
https://emaxis.jp/text/253955s_230425.pdf