投信残高、前月比4.1%増の175兆円=4カ月連続で過去最高-5月の投信概況
2023年06月14日 10時00分
投資信託協会がまとめた5月末の公募投信残高は、前月比4.1%増の175兆9703億円となり、4カ月連続で過去最高を更新した。日銀や機関投資家が多く保有する上場投資信託(ETF)を除いた残高は、前月比3.7%増の93兆5035億円となり、こちらも4カ月連続で過去最高だった。
5月の資金動向を見ると、公募投信(除くETF)は422億円の純資金流出となった。純流出は、2020年11月以来、約2年半ぶり。日経平均株価が3万円を超えて上伸する中、利益確定と見られる売りが出て、解約額が2兆0930億円と過去1年間の平均(1兆4441億円)を上回って増加した。ただ、設定額も2兆0563億円と過去1年間の平均(2兆0224億円)を上回っている。
松谷博司会長は、投資家の動向について「株価が急上昇したことで年平均を上回る売りが出て純流出となったが、その一方で、年平均を上回る買いもほぼ同規模で入っており、多くの投資家が積み立て投資を継続していることが見て取れる」と分析した。
5月末のMRF(マネー・リザーブ・ファンド、オープン型の公社債投信)の純資産訴額は、14兆4813億円と過去最大になった。公募投信の解約に伴い、待機資金が流入したもようだ。同月の資金流入額は、8273億円と2017年10月以来の規模だった。
投資信託協会のまとめによると、企業型確定拠出年金(DC)の加入者は23年3月末で805万人(前年同月は782万人)に、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者は290万人(同238万人)に、それぞれ増加したことが分かった。二つを合わせると、確定拠出年金の加入者は約1100万人に拡大した。
松谷会長は、資産形成の現状について「国を挙げて、『将来のために10年、20年をかけて資産形成しましょう』という政策を推進している。また、そのやり方として『長期・分散・積み立て』が良いですよということで、少額投資非課税制度(NISA)を拡充している」と指摘した。
その上で、投資家の心構えについて「投信の特徴は、長期に分散してプロにまかせて運用していくことだ。目先の市況に惑わされることなく、自分の10年先、20年先の目標に向けてしっかりと、月々1万円でも2万円でも、投資を続けていくことが大切だ」と強調した。
【投信協会】ホームページ
https://www.toushin.or.jp/index.html