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好循環に向かう日本経済、株式には先高観=日本株フォーラムを開催=野村アセットマネジメント

2026年03月17日 08時00分

(縣専務)(縣専務)

 野村アセットマネジメントはこのほど、日本株フォーラムを開催した。投資信託を販売する証券会社や金融機関約80社が参加した。日経平均株価は2月26日、36年ぶりに取引時間中の史上最高値(5万9332円)を記録するなど、高いパフォーマンスをあげている。中長期的な見通しやアクティブファンドの魅力をさまざまな視点から考察した。

◆「貯蓄から投資へ」の流れが加速、海外投資家も注目=縣専務

 縣清志専務は開会あいさつで、足元の投資環境について「資産運用立国実現プランや新NISAの導入によって『貯蓄から投資へ』の流れが加速している。日本企業のコーポレートガバナンス改革の進展や高市新政権の誕生なども加わり、国内投資家の需要を喚起するとともに、海外投資家の注目度もかつてないほどに高まっている」と話した。

 その上で、「新NISAの投資先の多くが、米国株やグローバル株に投資する投資信託に向かっており、投資ポートフォリオに占める日本株の比率はまだまだ十分であるとは言いにくい状態にある」と指摘。「我々の母国市場である日本株により一層、関心を持っていただき、日本株上昇の恩恵をより多くの日本国内の投資家の皆さまに享受していただきたいと考え、日本株フォーラムを開催した」と述べた。

◆二つの構造的な変化が、株価上昇の要因に=村尾常務CIO

(村尾常務CIO)(村尾常務CIO)

 村尾祐一常務CIOは「世界の投資家からみた日本株」をテーマに講演し、日本株が上伸した要因について、①日本経済がデフレからインフレへと変化した ②日本企業の株式の保有構造が変化した-という、二つの「構造的な変化」を挙げた。

 日本経済のインフレ環境については「当初はコロナ禍による供給不足や円安・資源高による輸入インフレだったが、2023年以降は、企業の再編・統合で供給調整が行われたことに加えて、労働力不足を背景に賃金が上昇しており、国内固有の構造的な要因でインフレが起きている」と指摘した。

 また、日本企業の保有構造については「政策保有株式が減少し、海外投資家や機関投資家などいわゆる『モノ言う株主』の保有比率が上昇したことで、日本企業のガバナンス構造が大きく変化し、資本効率を向上させる企業の取り組みの中で、自社株買いや配当が過去最高を更新する水準で行われている」と述べた。

◆好循環が動き出し、日本経済のパイが拡大=石黒氏

(石黒チーフ・ストラテジスト)(石黒チーフ・ストラテジスト)

 次いで、石黒英之チーフ・ストラテジストと福田泰之チーフ・ポートフォリオマネージャーが、「日本株投資を考える」をテーマに対談した。福田氏は、野村アセットマネジメントの旗艦ファンドである「ノムラ・ジャパン・オープン」、「情報エレクトロニクスファンド」、「小型ブルーチップオープン」を運用している。

 石黒氏は、日本経済と日本株式について「経済がインフレに転換する中で、企業が利益を上げ、株価が上昇し、賃金が伸びた。その結果、消費者の購買力が高まって、さらに経済が伸びるという好循環に入っている。経済のパイが拡大する上方向の流れに入っており、日本株は長期投資で保有できる資産になった」と評価した。

 また、「お客さまのポートフォリオは、米国株式やグローバル株式の比率が大きいと思われる。米国はグロース株が優位の相場展開だが、日本株はバリュー株相場が続いており、日米の株式を併せ持つことで分散効果が得られるのではないか」(石黒氏)と指摘した。

◆短期は警戒、中長期は楽観、2030年に日経平均10万円も=福田氏

(福田チーフ・ポートフォリオマネージャー)(福田チーフ・ポートフォリオマネージャー)

 福田氏も「日本の株式のマーケットは正常化した。経済が循環する中で、次のサイクルで前回の高値を抜くような、当たり前のマーケットになった」と指摘した。また、日本株市場の魅力について「日本株は、主要国の株式市場に比べてROEもPBRも低いし、それゆえに改善余地が大きい。さらに企業から成長戦略が出てくれば、アップサイドのポテンシャルは大きい」と述べた。

 今後のマーケットの見通しについては「半年程度の短期で見れば、値幅調整・時間調整が必要な展開になってきていると思うが、そこを乗り越えれば、上昇する余地は大きいと思う。短期は警戒、中長期は楽観だ。2030年に日経平均株価10万円は十分にありうるだろう」(福田氏)と述べた。

 福田氏は、自身の運用スタイルについて「上司から『カメレオン運用だ』と言われたことがある。特定のテーマやバリュー/グロースといったスタイルを定めず、柔軟にポートフォリオを構築し、業界をリードする『成長企業』や、環境変化に対応できる『勝ち残り企業』に、臨機応変に投資している」と説明した。

 また、「大きな上昇が期待できる銘柄を重視し、インパクトのあるウエイトに配分することで高いリターンの獲得を狙う、メリハリのある運用が特徴だ」(福田氏)と述べた。

◆分散投資の選択肢として日本株を提案=常陽銀行の溝口氏

 フォーラムに参加した常陽銀行 営業企画部 ウェルスマネジメントグループ調査役の溝口絵理子氏は、日本株ファンドの取り扱いについて「当行は3年前から、野村アセットマネジメントとタイアップして、『日本株を分散投資先の一つとしてポートフォリオに組み入れてはどうか』とお客さまに提案してきたが、米国株の『S&P500』や、世界株の『MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス』に対する注目が強く、日本株に投資するお客さまは限られていた」と述べた。

 お客さまの関心については「昨年からはインフレの進行や株価の上昇を受けて、日本株が話題に出ることが増えてきたと感じている。ただ、日本株はボックス圏での動きが長かったので、中長期的な上昇については懐疑的な見方もあった。また、日本株についても、日経平均株価のインデックスファンドへの投資が多く、アクティブファンドが定着してこなかった」(溝口氏)と指摘した。

 その上で「ここに来て日本株が顕著に値上がりしたことや、『ノムラ・ジャパン・オープン』の中長期的な値上がりを実際に目の当たりにし、元気なアクティブファンドに触れたことで、投資家の目線が変わってきたように感じている」(同)と話した。

 今後の進め方については「現在は、資金が海外株式に集中しているお客さまも多いので、為替リスクも踏まえて、ポートフォリオの分散先のご提案や、これから投資を始める若い世代への積立投資の選択肢の一つとして、日本株をご案内していきたいと考えている」(同)と述べた。

◆アクティブファンドは「顔が見える運用」が重要=SBI証券の川上氏

 SBI証券 投資情報部 シニア・ファンドアナリストの川上雅人氏は、アクティブファンドの販売について「新NISAがスタートするときに『SBIセレクト』として、アクティブファンド約50本をラインアップして推進してきた。その中に、NISA対象ファンドの10年リターンで1位の『情報エレクトロニクスファンド』と2位の『小型ブルーチップオープン』が入っている。良いファンドなので、お客さまに情報提供していきたい」と述べた。

 お客さまの状況については「当社の売れ筋ファンドも、『S&P500』や『MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス』のインデックスファンドだが、ここに来て、かなり変化が見られており、これらのファンドに次いで、金(ゴールド)や、日経平均株価・TOPIXのインデックスファンドがランキングを上げてきている」(川上氏)と指摘した。

 さらに「日本株のインデックスファンドは、相場が下落した局面で買われ、上昇したところで売られる『逆張り投資』が多かったが、2月は日本株が上昇する中でも買われた。昨年10月の高市政権の発足以降、日本株のインデックスファンドを『順張り』で買う動きが出てきている。また、まだ少ないものの、好成績の日本株アクティブファンドも売れている」(同)と紹介した。

 今後の進め方については「アクティブファンドは、『運用担当者の顔が見える運用』が重要だと思われるので、運用会社と一緒に取り組んでいきたい。国内株式については、インデックスを上回る成績を残しているファンドが多い。コラム等でしっかりと情報提供して、良いファンドを購入していただく活動を進めていきたい」(同)と話した。

 

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