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コストに徹底的にこだわる=「Tracers MSCIオール・カントリー」を新規設定-日興AM・有賀氏

2023年04月28日 09時00分

有賀潤一郎氏

 日興アセットマネジメントは26日、ネット販売専用のインデックスファンド「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株)」を設定した。長期で投資を続けるためのファンドとして、コストに徹底的にこだわり、信託報酬は年率0.05775%(税込み)と業界最低になった。商品開発部長の有賀潤一郎氏に、新ファンド設定の狙いや開発に込めた思いを聞いた。

-新ファンドの特徴は。

有賀氏 ネット販売専用の「Tracers」シリーズの第5弾として「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株)」を新規設定した。日本を含む先進国と新興国の株式に投資し「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(税引後配当込み、円換算ベース)」の動きに連動する投資成果を目指すファンドだ。

特徴の一つ目は、長期に積み立て投資するファンドとして、これまで以上に徹底的にコストにこだわり、低コストを目指したことだ。運用会社と販売会社、信託銀行がそれぞれ極限までコストを抑える取り組みを行った結果、信託報酬は年率0.05775%(税込み)になった。

 特徴の二つ目だが、運用については、当社が運用する規模の大きなマザーファンドを活用することで、コストを低減した効率的な運用と、指数に連動した質の高い運用をお客さまに提供していく。

(出所)「つみたてNISA」対象ファンドについて、時事通信社が目論見書等より信託報酬を追加(出所)「つみたてNISA」対象ファンドについて、時事通信社が目論見書等より信託報酬を追加(クリックで表示)

 特徴の三つ目だが、連動を目指す指数は「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」とした。この指数は、日本を含む先進国23カ国と新興国24カ国の株式市場に上場する大型株と中型株で構成されている。この指数、非常に多くの企業に分散投資しており、全世界の株式市場の動きを捉えた運用を目指している。お客さまのポートフォリオの中の「株式の柱」として適切な指数だと考えた。

-長期投資のために必要なことは

有賀氏 長期で投資を続けていただくにあたって「長く放っておけるものかどうか」が重要だと考えている。

ポイントの一つ目は、コストだ。「チリも積もれば山となる」ということわざがあるが、10年、20年といった長期の積み立て投資を考えたとき、低コストのファンドを活用することで、投資成果を最大限に享受した、より効率的は資産形成が可能になると考えた。

 二つ目は、指数だ。「ひとつの国やひとつの期待に賭けない」、偏りのないスタンスを目指した。10年、20年、30年という長期の資産形成を考えたとき、世界の経済成長に占める先進国と新興国の割合も変化していくだろう。先進国と新興国の両方の株式を組み込んだ「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」であれば、指数がこうした変化に対応してくれる。

-販売会社は

有賀氏 26日からSBI証券で取り扱いを始めた。さらに、窓口で対面販売を行う金融機関のネット販売チャンネルでも取り扱っていただけるように各金融機関にご紹介しており、このファンドの販売会社を広げていきたいと考えている。

-「Tracers」シリーズの展開状況は。

有賀氏 当社として初となるネット販売専用ファンドとして、2021年に「Tracers」シリーズをスタートした。「お客さまの『こんなの欲しかった』をデザインし、『インデックス(指数)』や『独自に定めたルール』に沿って運用(トレース)する」をコンセプトに、第4弾までは比較的ユニークなファンドを扱ってきた。

第5弾は、積み立て投資や、株式投資のコアになる商品を目指した。販売会社と信託銀行の協力を得ることで、極限までコストを切り詰めることができた。10年、20年という超長期の資産形成を考えた場合、株式投資には「成長性」や「インフレヘッジ」などポートフォリオに取り入れるべき要素が詰まっている。バランスファンドの重要性と合わせて、株式の柱をポートフォリオに持つことは重要だと考えている。

-新NISAへの対応は。

(出所)目論見書等より、時事通信社調べ 4月26日時点(出所)目論見書等より、時事通信社調べ 4月26日時点(クリックで表示)


有賀氏 このファンドは、現在の「つみたてNISA」の適格ファンドになっている。来年4月にスタートする新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の両方で投資していただくことが可能だ。このファンドは、ネット販売専用なので、ネット販売の分野で、株式投資の中心に据えていただくファンドになればと期待している。

 

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