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〔マーケット〕日本経済に千載一遇のチャンス-ヒト・モノ・カネが「不足」に転換か-日興アセット・神山氏

2023年04月20日 10時00分

日興アセット・神山氏

 日興アセットマネジメントは、四半期ごとにまとめる経済見通し「グローバル・フォーサイト」の2023年春号を発表した。神山直樹チーフ・ストラテジストは、「高水準の輸出に対応して設備投資が動きだし、賃上げにより実質的な家計収入が増加して個人消費が好調を維持すれば、日本経済は、ヒト・モノ・カネが『余剰』から『不足』へ転換する千載一遇のチャンスを迎えるだろう」と指摘した。

■米国経済

 過熱していた米国の雇用や消費は、ピークを越えつつある。今後、米国の経済成長率は横ばいで推移し、ソフトランディングすることをメインシナリオとして予想した。こうした中、米国の輸入は好調のまま横ばいで推移し、日本の輸出は高い水準を維持するだろう。

■日本経済

 日本の輸出産業は、リーマン・ショック前のピークを越えた高い水準の輸出が継続することで、設備が不足し、新規投資を検討するという「転換点」を迎えるだろう。また、来年以降も賃上げが続けば、インフレが次第に収まる中で、実質的な家計収入が増加することになり、個人消費は好調を維持するだろう。この結果、日本経済は、ヒト・モノ・カネが「余剰」から「不足」に転換する千載一遇のチャンスを迎えるだろう。

 当社は、来年3月末の日経平均株価を2万9500円と予想しており、今年度の日本株市場は、横ばい圏で様子見になると予想している。ただ、来年度以降は、思った以上に強い要素を持っているかもしれない。

■米国の金融政策

 米国の賃金上昇率は5%程度まで上昇したが、今後は3.0~3.5%程度に落ち着き、米国のインフレも穏やかになると予想している。こうなれば、米連邦準備制度理事会(ERB)は、政策金利を5月に同5.25%まで引き上げた後、年度後半には利下げに転じることが可能になる。当社は、FRBが年度後半に0.5%ずつ2回の利下げを実施し、来年3月末の米国の政策金利は年率4.25%になると予想している。

■日本の金融政策

 日本の長期金利は落ち着いており、来年3月末の10年国債利回りは、年率0.5%と予想している。当社はこれまで、日銀がイールドカーブ・コントロールの幅を広げることで、同利回りが0.75%まで上昇すると予想していたが、日本の機関投資家の国債に対する需要が見込まれることなどから、長期金利は急に上昇しないとする見方に変更した。

■円相場

 来年3月末の円相場は、1ドル=127円(前回予想は同122円)と予想した。米国のインフレが収まり、米金利は今年度後半に低下すると予想しており、円相場は円高方向に振れると見ている。ただ、日本の長期金利の予想水準を引き下げたので、円相場についても前回予想より円高の幅を圧縮した。

 

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