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ESG投資、日本株の全マネジャーが参加=1000社超に評価を付与-三菱UFJ国際投信③・完

2021年02月10日 14時25分

◆変化をとらえる

-新設ファンドの内容は。

友利啓明・株式運用部国内株式グループ・チーフ・ファンドマネジャー友利啓明・株式運用部国内株式グループ・チーフ・ファンドマネジャー

友利啓明・株式運用部国内株式グループ・チーフ・ファンドマネジャー 「三菱UFJ DC 日本株ESGアクティブファンド」は、ESGの取り組みについて「改善」が見込まれる企業の中から、企業収益の成長性や株価水準などを考慮して、銘柄を選定している。

 銘柄選定に当たっては、当社独自のMUKAMスコアなども活用しながら企業の変化に着目し、30~50銘柄に投資する。さらに、投資した後は、企業の価値向上に向けて、経営幹部としっかりとエンゲージメントを行い、改善に向けた取り組みを促していく。

-SRIファンドとの違いは。

友利氏 2000年ごろ、社会的責任に反していないか、社会的責任への貢献が優れているか-などの視点で投資先企業を選定する社会的責任投資(SRI)ファンドが登場した。ただ、運用面では、投資できる銘柄が限定されたことから困難さを伴ったのは事実だ。

 一方、ESGファンドは「中長期的な企業価値向上に資するかどうか」の観点に立って、投資を判断する。ESG要素を投資判断に組み込むESGインテグレーションや、エンゲージメントを重視したもの、環境(E)関連銘柄への投資を中心にしたものなど、多様な投資が許容され、さまざまな展開が期待される。

-ESG投資の今後は。

友利氏 ESG投資は、2006年に国連で責任投資原則(PRI)が採択されたことが、きっかけとなって拡大してきた。また、08年のリーマン・ショックで世界中の株価が暴落する中で、短期志向(ショートターミズム)への反省が生まれ、中長期で考えるESG投資が再評価された。

 PRIには、金融機関や運用会社だけでなく、資産の出し手である年金基金や機関投資家などのアセットオーナーも署名し、賛同していることから、一過性の動きに留まらないとみている。世界最大の年金基金である、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、ESG指数を使った運用残高を5.7兆円(2019年度)に積み増している。

-パフォーマンスへの寄与は。

友利氏 ESG投資が「パフォーマンスに寄与するかどうか」について、コンセンサスは得られていないが、最近では「企業のESGの取り組みと、株価のパフォーマンスの間に正の相関性がある」という論文が増えてきている。この結果は、ESG開示の統一性や広がりによって、いずれ明らかになると考えている。

 また、企業価値を評価するときに、売上高や利益などの財務情報だけではく、ESGなどの非財務情報を考慮することの重要性は増していることは明確になっている。ESG評価を行う際には「企業価値の向上に資するかどうか」という視点を忘れないことが大切だ。

◆バランスの良い投資へ

-ESG投資の手応えは

野崎氏 投資には、リターン・リスクといったパフォーマンスの要素だけではなく、「世の中を良くする」という機能がある。社会的な課題の解決とパフォーマンスの両立を目指すインパクト投資は「投資を本来のあり方に戻す」という意味でも、魅力的だと思う。

 ファンドマネジャーとして、これまで以上に、企業のサステナビリティに注目するようになり、投資の目線が長期になったと思う。従来は、四半期業績やカタリスト(株価を動かす要因)を気にすることが多かった。今は「バランスの良い、じっくりとした投資」の方向へ、自分の意識が向かっているのを感じている。

友利氏 ESG要素を投資判断に組み込んだ日本株投信「三菱UFJ DC 日本株ESGアクティブファンド」が、着実にリターンを積み上げている点には手応えを感じている。また、短期的、中期的、長期的な目線で、バランス良く銘柄を組み入られるようになったことも、ESG投資の効果として実感している。(了)

 

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