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2月末の投信残高、1.1%増の164兆円=1年2カ月ぶりに過去最高-投信協会

2023年03月14日 10時00分

 
(出所)投資信託協会(出所)投資信託協会(クリックで表示)

 投資信託協会がまとめた2月末の公募投信残高は、前月比1.1%増の164兆8600億円となり、3カ月連続で増加した。また、2021年12月以来、1年2カ月ぶりに過去最高を更新した。

 2月は、為替が円安に振れたことで運用益が増加した。また、「海外株式型」や「海外債券型」に個人投資家の資金が流入した。設定から解約等を差し引いた資金増減額は1242億円の純資金流入だった。これは70カ月連続の流入超過で、過去最長を更新した。

◆海外債券型が4カ月連続の流入超過

 このうち、海外債券型の資金増減額の推移をみると、1362億円の純資金流入となり、4カ月連続で流入超過になった。協会では「米国国債等の金利上昇に伴い、分配金を見込んだような資金の流入が続いているのではないか」と分析している。

◆つみたてNISA口座、年間増加数が200万超

(出所)投資信託協会(出所)投資信託協会(クリックで表示)


 金融庁のまとめによると「つみたてNISA」の口座数は昨年12月末(速報値)で725万口座に拡大した。前年同月は518万口座だったので、年間の増加数は200万口座を越えた。また、昨年10-12月の買付額は3731億円と四半期ベースの過去最大を更新した。年間の買付額は1兆2917億円となり、初めて1兆円を超えた。

◆「投資家からの資金流入」で過去最高を達成

 松谷博司会長は、公募投信残高が過去最高を更新したことについて「『市況悪化による運用のマイナス』や『分配金による資金流出』を上回る『投資家からの資金流入』によって、過去最高を更新したことに意味がある。国民の間に資産形成が浸透してきた一つの証左だと確信している」と指摘した。

 具体的には、前回に過去最高を記録した2021年12月以降の資金動向を公募株式投信(除くETF)で見ると、『投資家からの資金流入』は約9.3兆円となっており、『運用増減のマイナス(約6.2兆円)』と『分配金による資金流出(約2.2兆円)』の合算額を上回った。

◆慌てずに、投資を継続

 米銀の経営破綻の影響については、「事態の推移を注視しておく必要がある。ただ、私たちはリーマン・ショックのときに『慌てずに投資を継続することで、中長期的にリターンを得ることができる』という経験則を獲得した。もし、不安が広がったとしても、慌てずに投資を継続していただきたい。毎月定額の積立投資を継続していれば、マーケットの下落局面では、安いところでより多くの口数を購入できている」と指摘した。

◆10年、20年先を見て、冷静に対応

松谷博司会長


さらに、「私たちは、明日利益を得るためではなく、10年先、20年先の目標に向かって資産形成している。『マーケットは瞬間的に下落することもありうる』ということを念頭に置きながら、落ち着いて冷静に対応されると思う」と話した。


【投信協会】ホームページ
https://www.toushin.or.jp/index.html

 

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