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分かりやすく伝える工夫さまざま=運用報告書・月報のポイントは-三菱UFJ国際

2023年01月25日 08時15分

商品ディスクロージャー部の小田弓シニアマネジャー

 三菱UFJ国際投信は、ファンドの運用報告書を動画で解説するなど、運用内容の情報開示を強化している。商品ディスクロージャー部の小田弓シニアマネジャーと吉野和伸マネジャーに、分かりやすく伝える工夫や、開示資料の読み方のポイントを聞いた。

-運用報告書と月報の役割は。

小田氏 商品ディスクロージャー部では、目論見書、運用報告書、月報の3種類の開示資料を作成しています。運用報告書はファンドの運用状況や資産内容などを法令に基づき原則、決算ごとに開示します。一方、月報はファンドの1ヶ月間の運用状況やポートフォリオの状況などをお伝えするためにまとめたレポートで、投資信託協会の規則に定められている記載項目以外にも弊社が開示すべきと考える項目なども記載していますので、それぞれ少しずつ異なり、個性を持った内容になっています。

-動画で開示書類の配信を始めた背景は。

小田氏 弊社から直接、情報配信することでより幅広いお客さまに認知・理解していただきたいと考えました。スマートフォンは、社会的にインフラとして認知されており、お客さまのITリテラシ―も向上していますので、これまでの紙やPDFでの資料提供に加え、デジタル化を進めています。現在は、YouTubeによる動画配信に加えて、複数のインターネット交流サイト(SNS)での情報発信等、様々なチャネルで情報配信に力を入れています。

-分かりやすく伝える工夫は

吉野和伸マネジャー


吉野氏 冊子にてお送りしている交付運用報告書は、手に取って見ていただくことが第1段階だと考えているので、文字が多すぎないように、コンパクトで簡潔な文章にするよう心掛けています。文字のフォントやデザインも、ユニバーサルデザインフォントを使用する等、読みやすさを重視して選んでいます。

 かかるなか、コールセンターに受益者から「運用報告書の読み方が分からない」という声も寄せられていたので、お客さまの要望にお答えする方法の一つとして、読み方をガイドする動画を作成しました。コロナウイルスの感染拡大により、運用成果などについて対面でのご説明が難しくなりました。非対面の状況でも、活用していただける動画の作成を心掛けています。

小田氏 月報や運用報告書は、法令等に基づいて作成しているので、文字が多く、馴染みのない言葉もあり、特に投資初心者の方にはご理解頂きにくいこともあるのではないかと思います。動画ではそのファンドがどの様な運用を行ったのかを、より分かり易くお伝えすることをモットーにした作成を心掛けています。具体的には、ご説明する順番や見せ方、特に重要なグラフや表データは、注目部分を目立つように表示する、コメントはなるべく平易な言い回しをする等などを分かり易くするように工夫しています。

-運用報告書を読むポイントは

(交付運用報告書1ページ)(交付運用報告書1ページ)(クリックで表示)
(交付運用報告書2ページ)(交付運用報告書2ページ)(クリックで表示)
 


吉野氏 交付運用報告書の表紙を開いて、1~2ページを見ていただくと、「当期中の基準価額等の推移」がグラフになっています。この1年、あるいは半年間の運用状況が一目で分かります。

 ここに掲載したのは「三菱UFJグローバル・ボンド・オープン(毎月決算型)愛称:花こよみ」の交付運用報告書です。2ページ目には「上昇要因」「下落要因」をコンパクトなコメントにまとめています。1~2ページが見開きになっているので、基準価額の動きとその理由が一目で分かります。

(交付運用報告書11ページ)(交付運用報告書11ページ)(クリックで表示)
(交付運用報告書12ページ)(交付運用報告書12ページ)(クリックで表示)
 


吉野氏 次に、組入状況を説明している部分を説明します。「花こよみ」は、ファミリーファンド方式で運用しています。運用報告書の11ページでは、ファンドが投資しているマザーファンドの組み入れ状況と、マザーファンドが「国内籍の円建てファンド」であることを、円グラフで示しています。
 12ページでは、マザーファンドで実際の組入状況を「資産別配分」「国・地域別配分」「通貨別配分」の三つに分けて円グラフにしています。このマザーファンドでは、外国債券に大部分の資金を投資していることや、主に豪州とニュージランド、シンガポールに投資していること、通貨は豪ドル、ニュージーランド・ドル、シンガポール・ドルを保有していることが分かります。さらに、「組入上位10銘柄」も一覧にしています。このファンドは海外の国債を保有していることが分かります。株式に投資するファンドであれば、投資先の企業名を知ることができます。ただし、ファンドの決算日とマザーファンドの決算日が異なる場合は、直近の決算日時点のデータでの開示となるため、マザーファンドの基準日がファンドの基準日より古くなることに、注意が必要となります。

(交付運用報告書3ページ)(交付運用報告書3ページ)(クリックで表示)
(交付運用報告書4ページ)(交付運用報告書4ページ)(クリックで表示)
(交付目論見書9ページ)(交付目論見書9ページ)(クリックで表示)
(交付目論見書8ページ)(交付目論見書8ページ)(クリックで表示)
 


吉野氏 次にファンドを運用する上でかかったコストについて、見ていきます。「花こよみ」の場合、3ページに費用の1万口当たりの金額と比率を記載し、4ページに円グラフで総経費率をまとめています。

 投信を購入する際に目を通した「交付目論見書」には「運用管理費用(信託報酬)」の比率が開示されていますが、「その他の費用・手数料」については、実際にかかる費用が分からないので、どのようなコストが想定されるか項目のみを開示しています。

一方、運用報告書には、実際に運用する中でかかった費用を比率で開示しています。特に目論見書にて比率で開示できなかった費用である保管費用や監査費用等を比率で開示しています。さらに、これらの費用の割合を「総経費率」として年率で開示しています。投資信託は、かかった費用を詳細に開示し、運用の透明性を高めています。

吉野氏 交付運用報告書では、期間中の分配金の推移が一覧になっており、分配原資の内訳について「当期の収益」と「当期の収益以外」に分けて開示しています。また、「翌期繰越分配対象額」の推移も知ることができます。

 ファンドごとに分配方針はさまざまです。定期的に分配することを目指すファンドもあれば、分配を抑制して複利効果で資産の成長を目指すファンドもあります。このページでは、それぞれのファンドの分配方針に沿った分配が行われているかを、確認できます。

分配金の仕組みについては、ホームページにコンテンツ「もうクマらない、投資信託の分配金」(https://www.am.mufg.jp/service/bunpai/index.html)で詳細に説明しています。

-月報のポイントは

小田氏 月報は、ファンドの1ヶ月間の運用状況やポートフォリオの状況、投資環境などをまとめたレポートで、充実した内容を早いタイミングでご確認いただけ、資産運用を身近に感じて頂ける第一歩になると思いますので、是非、継続的にご覧いただきたいと思っています。例えば、「eMAIXS Slim 米国株式(S&P500)」は、米国の株式市場を代表する指数の1つである「S&P500」の値動きに連動する投資成果を目指して運用しているインデックスファンドです。「S&P500」は、米国株式市場全体の動きを概ね反映していると言われており、このファンドの月報では、組入上位10業種と10銘柄を掲載していますので、ファンドの運用状況はもちろん、米国株式市場の概ねの変化も感じながら資産運用を続けることができるのではないかと思います。

(月報1ページ)(月報1ページ)(クリックで表示)
(月報2ページ)(月報2ページ)(クリックで表示)


小田氏 また、月報は「ファンドの目的・特色」「投資リスク」「手続・手数料等」をコンパクトに掲載しているので、ファンドの基本情報を月報でご覧いただくことも可能です。

 これまでPDF形式でのみ配信していた月報を、2021年8月から一部のファンドにおいてHTML版で掲載しています。HTML版では、閲覧デバイス(パソコン、タブレット、スマートフォン等)の表示画面に合わせて大きさが変わるので、視認性が向上します。

 また、「eMAIXS Slim 米国株式(S&P500)」等の一部ファンドでは、月報の2ページ目の上部に、eMAIXSシリーズの月報や投資環境、オンラインセミナー等の情報をご案内している「eMAIXS LINE」のQRコードを掲載し、簡単に友だち登録をしていただけるようにしています。弊社では、資産形成に関する様々な情報をLINEなどのSNS等でも発信しており、積極的な情報開示に努めています。

 

 

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