10月末の投信残高、4.9%増の162兆円=DC加入者は1000万人突破-投信協会
2022年11月15日 09時00分
投資信託協会がまとめた10月末の公募投信残高は、前月比4.9%増の162兆6192億円となり、2カ月ぶりに増加した。国内外の株価が上昇、為替が円安に振れたことで運用益が増加し、2022年3月末(163兆0827億円)以来の規模に拡大した。
また「海外株式型」や「資産複合型」に個人投資家の資金流入が続いている。このため、設定から解約等を差し引いた資金増減額は7974億円の純資金流入となり、66カ月連続の流入超過と、過去最長を更新した。
松谷博司会長は、10月の投資家動向について、「市況動向にとらわれることなく、10年、20年後を目指して、積み立て投資を中心に長期に資産形成することが、国民の中に少しずつ浸透してきている」と評価した。
◆確定拠出年金、加入者は1000万人超え
運営管理機関連絡協議会のまとめによると、企業型確定拠出年金(DC)の加入者数は、前年同月比4.2%増の782万人(22年3月末)に拡大している。また、国民年金基金連合会のまとめによると、個人型DC(iDeCo、イデコ)の加入者数は、同21.6%増の264万人(同年9月末)になった。合わせると1000万人を突破した。
さらに、事業主が従業員のiDeCoに掛け金を追加拠出する「中小事業主掛け金納付制度(iDeCo+、イデコプラス)」の対象者は、同43.0%増の3万2401人(同年9月末)に拡大している。
松谷会長は、DCの普及動向について「大企業には浸透してきたが、地方の中小企業にはまだまだ普及していない」と指摘した。このため投信協会は、地方の「職域」に焦点を当て、全国各地で「企業型DC」や「iDeCo」、「iDeCo+」のセミナー等を実施しているという。
セミナーの場では「DC制度を整備したおかげで、都会の大企業から地方にI(アイ)ターンしてきた優秀な人材を獲得できた」「女性社員が入社の決め手の一つに『iDeCo+があること』を挙げていた」などの声が聞かれたという。社員の福利厚生や人的資本の向上、人員採用の拡充などに役立っている。
松谷会長は、DCの意義について「会社にDC制度があれば、職場で金融教育を受け、積み立て投資を始めることができる。それまで投資に関心の無かった人たちにも、資産形成に興味を持ってもらえる。結果的に『資産所得倍増プラン』が達成され、国民の資産形成の拡大につながっていくだろう」と話した。米国でも、投資信託の残高の半分は、DCなどの投資優遇制度を経由した資金だという。
【投信協会】投資信託の主要統計等ファクトブック
https://www.toushin.or.jp/statistics/factbook/index.html