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〔マーケット見通し〕米国経済、本格的な景気後退にはならず-日興アセット・神山氏

2022年07月22日 09時00分

神山直樹チーフ・ストラテジスト

 日興アセットマネジメントは四半期ごとにまとめる経済見通し「グローバル・フォーサイト」の2022年夏号を発表した。神山直樹チーフ・ストラテジストは、米国経済について「雇用の痛みを伴うような本格的な景気後退にはならないだろう」と分析。米国のインフレについても「過熱気味だった雇用や消費が穏やかになることで、来年遅くには2.5~3%に落ち着くのではないか」と指摘した。

■米国経済 

 米国の4~6月期の実質GDP(国内総生産)が前期比マイナスになると、1-3月期に続いて2四半期連続のマイナス成長になる。テクニカルにはリセッション(景気後退)と言われるかもしないが、米国経済は雇用の痛みを伴うような本格的な景気後退にはならないと見ている。

 米国の雇用は過熱状態だ。非農業部門雇用者数は、コロナショック前の水準にほぼ戻ろうとしている。米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)から見ると、行き過ぎ感がある。これまで働いていなかった女性や高齢者が労働市場に戻るほど、賃金が高く、人手不足も続いている。

一方、小売売上高は、コロナ対策の財政支出の効果に加えて、雇用の伸びによる収入増加により、高止まっている。ただ内容を詳細に見ると、数量ではそれほど増えていないため、今後は伸び率がスピードダウンしていく可能性がある。

■米国のインフレと金融政策

 米国のインフレは、さらに加速することはないと見ている。コロナ対策の一時金や失業手当の上乗せ給付による貯蓄は緩やかに減り、「物の消費」から「サービス消費」へと移行する中で、加熱気味だった雇用や消費は穏やかになるだろう。貯蓄が以前の水準に戻り、お金を使うペースも元に戻ることで、FRBの金融政策は、インフレ率の落ち着きどころを探っていく展開に変化してくのではないか。インフレ率は、来年遅くには2.5~3%に落ち着くと見ている。

 FRBは7月下旬に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.75%引き上げ、年2.25~2.50%とする可能性が高い。さらに、政策金利の引き上げが続き、2023年3月末には年4.5~4.75%になると予想している。

■日本経済

 日本の実質輸出は、今後、数量ベースではリーマン・ショック前のピークを越える水準で推移する可能性がある。企業は。設備投資をして生産能力を高めることが必要になる。輸出企業から業績が拡大し、成長のサイクルに入れば、コロナショックからの経済再開でサービス業が回復することも加わり、日本経済は正常化に向かうだろう。

 2023年3月末の日経平均株価は2万7500円、米国のダウ工業株30種平均は3万3500ドル、円相場は1ドル=140円を予想している。

 

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