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〔マーケット見通し〕日本株の上昇トレンド、今後も継続-フィデリティの鹿島氏

2022年07月20日 13時00分

フィデリティ投信の鹿島美由紀副社長兼運用本部長

 フィデリティ投信の鹿島美由紀副社長兼運用本部長はメディア・ブリーフィングで、日本株式について「長期の上昇トレンドは崩れていない」と指摘した。第2次安倍政権が実施した政策や成長戦略が現在も維持されていることから、「今後も上昇トレンドは継続する可能性が高い」と述べた。主な発言は以下の通り。

■日本株の現状

 2022年上半期は、大きな出来事が続いた。例えば、日本の4月の消費者物価指数は前年同月比2.1%増となり、消費税の影響を除くと13年ぶりに2%台に上昇した。また、米国の中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)は22年ぶりに0.5%の大幅利上げを実施した。ただ、日本株式のチャートを見ると、長期の上昇トレンドは崩れていない。

 東証株価指数(TOPIX)の毎年のリターンを見ると、過去10年間の累積変化率が239%と魅力的な資産クラスだった。2012年10月末を100として各国の株価指数を比較すると、日本株が米国以外をアウトパフォームしている。日本企業の22年3月期決算は4年ぶりに過去最高益を更新するなど好調なため、日本株のバリュエーション(株価評価)に割高感はない。

■今後

 今後も日本株の上昇トレンドは続くだろう。その理由の一つ目は、2012年に第2次安倍政権が発足して以降に実施された(1)大胆な金融政策(2)機動的な財政出動(3)成長戦略-が現在も安定的に維持されていることだ。欧米が利上げに転じる中で、日銀は金融緩和政策を継続している。

 二つ目は、新型コロナウィルスが沈静化した後に、日本経済は設備投資と賃金が上向く好循環に戻ると見られるためだ。時給は上昇しており、女性や高齢者の就業者数が伸びる中で、総雇用者所得は増加している。企業は、出遅れているデジタル分野や、環境・脱炭素、自動化・省人化、ヘルスケアなど、今後成長が見込まれる分野への投資を本格化させるだろう。

 三つ目は、日本株の保有をアンダーウエートにしている投資家が多いことだ。特に日本の個人金融資産に占める株式の比率は低い。ただ、最近はインフレで、日々の生活の中で物価の上昇を感じるようになった。預貯金にお金を置いておくと(購買力が低下して)物が買えなくなることを体験するようになったことで、改めて「貯蓄から投資へ」の意味を考えるようになるかもしれない。

■注目ポイント

 穏やかなインフレは日本経済にとってプラスだ。企業が設備投資を行い、賃金が上昇し始めている。7月の参院選で与党が圧勝し、安定した政治と政策が継続することになった。今後、世界経済の循環的な調整によりマーケットが下落する局面があれば、長期的に有望な日本株に投資する絶好の投資機会だと考えている。

(出所)フィデリティ投信 2012年10月末を100として日経平均株価を指数化(出所)フィデリティ投信 2012年10月末を100として日経平均株価を指数化(クリックで表示)

 

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