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社会全体でコンセンサスの醸成が重要に=国民の資産形成の支援で-投信協会・松谷会長

2022年07月14日 09時04分

投資信託協会の松谷博司会長

 投資信託協会の松谷博司会長は記者会見し、「すべての人に世界の成長を届ける研究会」がまとめた2回目の報告書について説明した。松谷会長は「人々の資産形成が大きく進むためには、『実践する個人』と、職場・金融関係者・国などの『支援する側』が一体となって取り組むべきものという意識が社会全体で醸成させることが重要だ」と指摘した。主な発言は以下の通り。

 当協会は2020年5月に有識者研究会「すべての人に世界の成長を届ける研究会~長期・分散・積立による資産形成を実際の行動に~(通称:つみけん)を設置し、昨年5月にその活動をまとめた第1回目の報告書「2041年、資産形成をすべての人に~5つのターゲットと15のアイディア~」を発表した。この報告書では、資産形成について2041年にどんな姿を目指すのか-を示し、それを具体的に数値化した目標を五個のターゲットにした。

 若い人に、老後が心配だから爪に火を灯すような生活をしてお金を貯めなさいというのは理不尽だなという思いがあった。このため昨年の報告書では、2041年の資産形成のありたい姿として、「少しずつ、時間をかけて、日々の生活の範囲で投資を行って将来に備えることが、今この瞬間を大切に生きることにつながる」というメッセージを伝えた。

 また、もう一つのメッセージとして「投資と社会がつながっている」ことを伝えた。皆さんが投資することは、社会へ参画することであり、持続可能な社会を創造することに貢献できる。その上で「20歳になったら1万円を投資しよう」と呼びかけた。

 「あるべき姿」を数字化したものが、5個のTargetsであり、「現役世代の年代別保有金融資産の中央値を2倍」「つみたてNISAおよびDC等による積立投資総件数を4000万件」「つみたてNISAおよびDC等の残高を150兆円」「株式や投資信託を保有している人の割合が100%」「金融教育を受けたことのある人の割合が100%」を掲げた。

 今回の報告書は、「足元からこれらのTargetsに至るまでに、何が必要か」を検討し、8個のActionsにまとめた。もちろん資産形成は個人が行うことだが、これからの少子高齢化を踏まえると、個人だけではなかなか進まない。職場、金融関係者、国を挙げて、国民の資産形成を支援していく。このことが社会のコンセンサスになることが必要だということで、資産形成を実践する「個人」と、支援する「職場・金融機関・国」という4個の主体が取り組むべきアクションを整理した。

 これらのActionsを抽出するにあたって、まず、対策が急務になっている団塊ジュニア世代に焦点を当てて議論をした。団塊ジュニア世代は、人口が多く、50歳前後に達しているため資産形成する期間は20年ほどに限られる。この世代への対応をしっかり議論することで、全世代に必要な対応も見えてくると考えた。

(出所)投資信託協会 報告書の6ページより(出所)投資信託協会 報告書の6ページより



【投資信託協会】「すべての人に世界の成長を届ける研究会」(通称:つみけん)2021の報告書の公表について
https://www.toushin.or.jp/topics/2022/22602

 

 

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