リバランスこそ分散投資の本当の価値-UBS SuMi TRUSTの居林氏
2022年07月07日 13時01分
富裕層向けにプライベートバンク事業等を展開するUBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントは、「前例のない時を超えて」をテーマにメディアセミナーを開催した。居林通ジャパン・エクィティ・リサーチ・ヘッドは、「分散投資の本当の価値は、(ポートフォリオの資産比率を基本配分に戻す)リバランスにある」と強調した。また、「弱気相場は、次の強気相場のスタートになる」と指摘、「これからの時間を使って、自身のポートフォリオをレベルアップしてほしい」と述べた。主なポイントは以下の通り。
◆次の強気相場のスタート
海外の投資家でも、アメリカ株式がここまで下がることはなかなかないので、うろたえる人もいるし、チャンスだと思っている人もいる。累積リターンをグラフにすると、弱気相場は何年かに一度やってきて、とても強い痛みを伴うが、「次の強気相場のスタート」になっていることが分かる。
弱気相場をどうやってチャンスにするか。分散投資をしている人であれば、リバランス(再分配)を行うことで、半自動的にチャンスを捉えることができる。
例えば「株式60%、債券40%」でポートフォリオ組んでいる人であれば、弱気相場で株価が下落したことで、ポートフォリオにおける株式の比率が下がっている。元の比率に戻すためにリバランスを行えば、半自動的に割安になった株式を購入できる。分散投資は、異なる値動きの商品を組み合わせることで価格変動を抑制することに加えて、リバランスにこそ本当の価値があるのだと考えている。
弱気相場は、よく観察すると、7~14カ月で底を打つ。次の高値を更新するのに2年と少しかかる。この間を、次の相場に備えた準備の期間にしましょうと提案している。リバランスをしたり、分散投資に挑戦したりすることで、ポートフォリオをレベルアップして、長期的なリターンを改善する良い機会になる。
緊急時の心得は「うろたえない」だ。ポートフォリオの特性の変更や、株式からキャッシュへと大幅に資金の入れ替えをしたくなる衝動を抑えた方が良いだろう。
◆日本株式
今回の世界的な弱気相場で、日本株は世界株に比べて相対的に底堅さを発揮し、下げ相場で踏みとどまっている。投資家動向を見ると、海外投資家が売り越す中で、事業会社が自社株買いで株式を購入している。これまで「海外投資家が売ると日本株は下落する」というのがセオリーだったが、変化が見られる。企業が自社株買いを積極化させているということは、現在の日本株が企業業績の悪化を相当程度織り込んだ水準にあることを示唆していると見ている。
今月10日の参議院選挙で与党が優位に立てば、政治的に安定した状態になり、政策が進めやすくなる可能性がある。特に、製造業のサプライチェーン(調達・生産・販売の流れ)の友好国化や自国生産への回帰、エネルギーの経済安全保障政策の動向が注目される。