5月末の投信残高、0.3%増の158兆円=2カ月ぶり増加-投信協会
2022年06月14日 09時00分
投資信託協会がまとめた5月末の公募投信残高は、前月比0.3%増の158兆5755億円となり、2カ月ぶりに増加した。米国のハイテク株安で運用損益がマイナスになったが、海外株式型ファンドなどに個人投資家の資金流入が続いた。設定から解約等を差し引いた資金増減額は8862億円の純資金流入だった。61カ月連続の流入超過で、過去最長を更新した。
松谷博司会長は、投信市場の動向について「不透明な市況が続く中でも、投信市場に安定的に資金流入が続いている。新年度に入りしたので、社会人になって投資を始めた人も、新たに積み立てを始めた人もいるだろう。『長期で、積み立てで、分散投資をしていく』という資産形成の考え方が、大きな流れの中で定着し始めていると感じている」と指摘した。
海外株式型など海外資産に資金が流入していることについては、「地域・資産別の純資産総額を見ると、国内株式型の約67兆円に対して海外株式型は約19兆円だ。日本に居住し、日本企業から給料をもらい、日本円を使って暮らしている人にとって、国際分散投資は必要だ。若い人を中心に、海外資産に資金が向かっていることは、資産形成の観点からは当然だろう」と指摘した。
また、岸田文雄首相が推進する「資産所得倍増プラン」については「人々に資産形成を普及することが、(日本の抱える)社会的課題として明確に取り上げられたことは、大変に意義がある」と強調した。さらに「投資と投機を混同する意見を見かけるが、資産形成とは『20年、30年という長期の時間軸で、少額を積み立てて、分散投資する』ことだ。資産形成をやろうと考える全ての人が資産形成に取り組めるように、包摂的に支援していくことが運用会社のスタンスであるし、岸田首相のプランの根底にはこうした考え方があると思う」と指摘した。