三菱総研、ウェルビーイングで新指標を開発=「人間・社会・地球」で総合評価
2022年03月14日 09時00分
三菱総合研究所は、ウェルビーイング(幸福度)を測定する新指標を開発した。生活の自立など「人間」の要素に、それを支える「社会」と「地球」を加えて、総合的に定量分析できるようにした点が特徴だ。
武田洋子政策・経済センター長は「政策や企業経営の目標としてウェルビーイングを位置付ける動きが広がっている」と指摘。「エビデンス(根拠)に基づいて政策を立案したり、株主などステイクホルダーに見える形で説明したりする際に、この指標を活用していただくことを考えている」と話した。
同研究所は、ウェルビーイングの基本構造を「『地球の上で社会に支えられ人間のウェルビーイングが最大化する』と同時に『人間が社会と地球に働きかけることでウェルビーイングが向上する』」と定義。ウェルビーイングの構成要素を「人間」「社会」「地球」の3領域で総合的にとらえて、36項目に分解した。
その上で、毎年実施している「三菱総合研究所『生活者市場予測システム(mif)』アンケート調査」で、全国の1万人に36項目の「重要度」と「満足度」などを回答してもらい、そのギャップの大きさを数値化した。
調査結果を見ると「人間」に関する要素では、「精神的な健康」「所得と資産」といった「生活の自立」や「将来への希望」に関する項目は、重要度が高いものの、相対的に満足度が低く、ギャップが大きかった。
「社会」「地球」に関する要素では、重要度と実現度を調査したが、「災害の抑制」「医療」「介護福祉」「経済格差」「財政の持続性」「セーフティーネット」「自然環境の保全」などで、ギャップが大きかった。
こうしたデータは、性別や年齢、世帯収入別にまとめたり、影響度や相関度などを分析したりすることが可能だ。山藤昌志主席研究員は「ウェルビーイングへの影響度を見ると『将来への希望』『所得と資産』など『人間』に関する要素が上位になっている。ただ、セグメントに分けて分析すると、『生活の満足度が高く、社会との関係を重視する集団』では、『財政の持続性』や『基本インフラ』など『社会』に関する要素がトップ2を占めるという特徴的な結果が見えてきた」と話している。
<MRIエコノミック・レビュー>ポストコロナ社会のウェルビーイング
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