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三井住友DS、議決権行使の基準改定=東証市場再編やカーボンニュートラルに対応

2022年02月14日 09時01分

責任投資オフィサーの坂口淳一氏責任投資オフィサー 坂口氏

 三井住友DSアセットマネジメントは、投資先企業の株主総会で行う議決権行使の判断基準を改定した。より厳しい基準を設けたプライム市場が4月の東証市場再編で誕生することや、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするカーボンニューラルの実現に向けて企業に対する要請が強まっていることなど、最近の状況変化を基準に反映させた。責任投資オフィサーの坂口淳一氏に、見直しの概要を聞いた。

-改訂の背景は。

 坂口氏 昨年6月、東証のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が改定され、それと同時に金融庁も「投資家と企業の対話ガイドライン」を見直した。また、東証の新市場区分が4月に実施される。さらに、企業や社会のサステナビリティ(持続可能性)に対する関心が高まっている。こうした情勢の変化に対応し、議決権行使基準を改訂した。

 改訂のポイントは6点だ。①取締役会における独立社外取締役の構成基準の厳格化 ②株主総利回り(TSR)基準を新たに導入 ③サステナビリティ・多様性基準を新たに導入 ④政策保有株式基準の厳格化 ⑤特定譲渡制限付株式の付与対象に社外取締役を追加 ⑥サステナビリティの情報開示に関する株主提案における賛成条件を新たに導入-だ。


-独立社外取締役の構成基準を厳格化する狙いは。

 坂口氏 特に東証プライム市場上場企業には「独立社外取締役2名以上もしくは構成比3分の1以上」を求めることにした。社外取締役には、客観的な視点で会社経営をモニタリングしてもらうことを望んでいる。それが、中長期的な企業価値の向上につながると考えるからだ。独立社外取締役には、われわれ少数株主と同じ目線で、取締役会に臨んでほしい。


-TSR基準を導入した理由は。

 坂口氏 TSRを議決権行使の基準に取り入れるのは、国内の運用会社では珍しいのではないか。TSRは、その株式を保有するとどれだけリターンが上がったかという過去の実績値であり、それが著しく低い企業は、経営手腕などに問題があった可能性がある。同じ業種の中で株価が著しくアンダーパフォームした場合には、その内容を精査し、それが経営に起因するものであれば、役員の選任案などに反対する。

 企業でも、役員報酬を決定するルールの中にTSRを入れるところが出始めてきている。企業とのエンゲージメント(対話)でも、TSRを切り口にして対話を進めていきたい。


-サステナビリティ・多様性基準は。

 坂口氏 気候変動や人的資本・知的財産など、環境(E)や社会(S)の課題に向き合った経営をしているか、こうした情報の開示に不足はないか、対話において改善の意思や方向性が確認できるか、といった点を注視していく。

 また、「取締役会の構成に女性や外国人が一人もいない」あるいは「その会社だけでキャリアを積んだ社員で取締役会が占められている」といった企業に対しては、取締役会の構成について再考を促していく。今後の企業成長を考えると、女性や能力の高い人を幹部に登用することが重要だ。


-政策保有株式は。

 坂口氏 政策保有株式の占める割合が、高い企業がある。なかなか状況が改善されないため、20%以上保有する場合は、代表取締役の選任案に反対することを明確にした。

 政策保有株式の割合が大きいと、ガバナンスが空洞化するという問題がある。持ち合い株の株主は、経営陣の議案に賛成するので、経営監視の視点が低下してしまう。また、株式の政策保有によって資金が寝てしまい、新たな投資や研究開発にお金が回らないという問題もある。投資先がない企業には、このお金を株主に還元してもらうことで、社会全体の資金循環を良くする効果が期待できる。


-特性譲渡性株式の付与対象の見直しは。

 坂口氏 従来は「社外取締役に過度なインセンティブを与えない」という観点から、報酬については固定制を求めてきた。しかし、今回の改訂では、「社外取締役にも、投資家と同じ目線を持ってもらう」という観点をより重視した。「株価が上がる」「企業価値が高まる」という点で、投資家と利害関係を一致させるには、株式を保有してもらったほうがいいと考えた。


 -サステナビリティ情報開示は

 坂口氏 気候変動や人権など、サステナビリティに関する定款変更は、内容や範囲、項目が適切と判断できる場合、原則として賛成する。当社は、昨年6月の総会から、こうした基準に則った判断をしてきた。今回は、それを明文化した。昨年6月の株主総会でも、「地球温暖化へ対応は喫緊の課題だ」という観点から、こうした株主提案に賛成した。

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